無題

少しずつ風が暖かくなってきた。

穏やかな季節になろうとしているのに妙に落ち着かず眠気も遠い。任務や訓練も気が散ってばかり…、心当たりがある調査兵団団員は正直に名乗り出ろ、…団長も含め、だ。他人の生活に無闇に干渉するつもりはないが、それが俺の部下であり、仲間であるなら話は別だ。
つまらない理由で心身共に疲弊した状態で壁外調査になんて出てみろ、結果は明らかだろう。どうにかしろ。場合によっては手を貸してやる。

但し以下の項目を理解、了承した者のみ、だ。

●xx、e箱、本宿のいずれかを使用
●背後未成年者の裏行為不可
●期間は一晩、長くとも三日
●過度な背後透過、鬱悲壮は不可

先に言った通り調査兵団に所属する新兵から団長まで、姿は問わない。だが迎えるのは俺一人だ。

優しく甘やかされたい、叱咤されたい、話を聞いてもらいたい。と、俺に何か求めるならハッキリと口にしろ。可能な範囲なら応えてやる、不可能であれば代案を出す。

人類に心臓を捧げた兵がいつまでも湿気た面してるんじゃねぇ。サッサと吐き出してまた前を向け。


訪問者はノックをしてから部屋に入るように。
昨夜訪ねて来た新兵が無事に部屋に戻ったようだ。
今夜もう一度訪問者を迎えようと思う。
だが一つ、昨夜迎えた新兵とは別に一人訪ねて来た者がいた。
解読出来ない文字で埋められた手紙だけが手元に残っている。もし心当たりのある者がいるなら、そしてまだスッキリとしない気分で燻っているなら手間だろうがもう一度部屋を訪ねて来い。
一応、件名は白紙で。