親愛なる古書番に宛て

星合の夜は、あなたを思い出すの。いつかの奇跡が背中を押してくれたから、今宵は笹飾りに願いを託していくわ。鵲の橋を渡った先で、伝えそびれた言葉を届けられますように。

いっそ怒鳴ってくれたなら。あなたは最後にそう言ったけれど、そうね。声を荒げてでも言えば良かった。あなたの言葉が、あなたを想って綴る時間が、好きだったのよ。

・茶斑の愛猫
・忘却する生き物には酷な願い事