お兄様へ

肇さん、このまま貴方に会えぬままお別れだなんて、僕は嫌です。
ずっとずっと貴方のことだけを想って恥を忍び、上の方々の横暴にも耐えてきたのに。
まだ少しでも僕のことを弟として愛しんで下さるのなら、直接お手紙を頂けませんか?

仮令肇さんがこの手紙に気付いて下さらなくても……僕は貴方のことを探し続けます。
今までお付き合い下さってありがとうございました。
僕は本当に貴方のことが大好きでした。僕だけの大切なお兄様。
ただ、どうしてもっと早く貴方を攫ってしまわなかったのかと、それが悔やまれてなりません。
肇さんへ

貴方とお別れしてから二ヵ月経過しました。
季節はもう初夏ですね。お変りはありませんか。
僕はまだ、肇さんのことだけを想っています。
これからもずっと。貴方から頂いた指輪を胸に。

この手紙に一縷の望みを託して…
肇さんへ

月日が流れるのは残酷な迄に早いですね。
貴方は僕のことなど忘れてしまったのでしょう。
やはり神様は願いを叶えては下さらない。
ただ貴方に会いたい、それだけなのに。