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1 言峰綺礼 no title 忙中に寸暇を得たは良いが興味索然とした私のような男が無聊を慰む方法などたかが知れている。 冬木はその名に相応しく、今宵はしんしんと雪が降っており読書をするには誂え向きの静けさだ。だが本と語らいたいか否か、それはまた別の問題だとは思わんかね。噴飯物を用意できるほどの引き出しもないつまらない一介の神父ではあるが、この一時を静かに過ごすことの出来る人物がいれば是非とも教会の戸を叩くといい。話題がなければ提供する程度のことは出来る、無論、君が何かを持っているのならば…その傷を開いて見せるのも一つか。