過去ログ36 2006/6/19 5:30

#.
読み違えた時刻表と
溶けるような蒼さ

誰にも触れられないまま
街を逃げる
此処は誰にとっても何処でもない


気が付けば
喋らない受話器を静かに置いていた
ミシンで縫い付けた指先

やがて人は老いるだろう
僕は窓に我が身を映す
乾かない景色を気にして


そのままでも構わなかった
顔の失われた優しさが
緩やかに煙草の味を駄目にしてゆく

うつむいた壊れかけの朝

そして言葉は
徐々にその意味を失っていったね
伝えられないことばかりが
当たり前に増えてゆくよ


たどり着いた場所は
黄色い観覧車の丘
色褪せるたびに揺れる

知らない国から来た浮浪者
自分の故郷さえもわからなくなって
今日も退屈そうに
優しかった日々を想いながら
2006/6/19 5:30
HP

#sk
隠した気持ちはどこへやら
突き放すなら最初から冷たくしてと想う


月から太陽へと変わるように
あなたもわたしも赤くなっていくけど


そうなりたくないと
ひっそり願う心は背中に隠し


夢を見続けているのは
自分だけなんだと、
再確認の暇もなくあなたは扉を開く


いつかの恋人ごっこはどけへやら


繋がりは虚しく軋む夜に消え
重ねていたはずの想いは見ないふり


月から太陽へと変わるように
あなたもわたしも他人になる
2006/6/13 3:00
HP

#おる
さんぽみち。
仔犬みたいに僕を連れて
どこへ行こうとしているの
久しぶりだね今日は
こんなにゆっくりできるだなんて

白いパラソル クルクル回して
足取りは軽く
朗らかに行こうよ

あの丘に登り 町を見渡すんだ
見えるだろう あの教会も あの公園も
囲まれた緑色したパノラマ
二人の思い出が蘇るんだ

出会ってから今まで
色んなことがあったよ
愛したこと傷ついたこと
今となりすべては
微笑みに変わる

見えない絆が深く胸の奥で
固く結ばれるんだ

雨の日も風の日も
小さな感謝が照らしだすから
この先ももっと歩ける
曲がりくねった道を


仔犬みたいに僕を連れて
のんびりと歩く二人の道程
白いパラソル クルクルリ
2006/5/21 14:24
HP

#時雨
あなたの隣り
わたしの右手が

自由を忘れたのは

あなたの左手が

繋がれているから


今夜もあなたの
腕の中に包まれて

眠る事ができるのね


わたしの右手が
あなたの左手を離して

涙を零したのは
わたしを愛してくれた

証なのだとしたら

もう離れる事は無いね


怖くなったら

何度でも暗闇に堕ちて

あなたと二人


手を繋ぐ
2006/5/21 0:39

#時雨
雨音
好きだけじゃ
愛し合えない


いつからか私は

幾つもを求めて

寂しさばかりを

拾い集めてしまった


愛しいはずのあなたは

眠る事さえ不器用で

二人の夜は

一人の夜へ


もっと
抱きしめて欲しかった

私の心があなたから
離れてしまう前に


求めたのはあなただけ

愛したいのもあなただけ


いつか大人になったら

もう一度愛し合おうね

二人寂しくない様に
2006/5/18 3:47