落葉亭

過去ログ115 2019/10/12 15:10

▼haru
平成31年 5月

駅前に床屋たばこ屋夏つばめ

定年の夫のスーツ更衣

子どもの日オムライスには旗立てて

訳ありのワゴンセールのカーネーション

父母の遺せし薔薇のまくれなゐ

湯の宿を廻る回廊竹落葉

新樹光いつものカフェの二階席

五月雨や珈琲とブルースの朝

貝殻に耳当ててみる立夏かな

やはらかな木洩れ日の束若葉風

窓の無きトロッコ列車谷若葉

紅薔薇を抱いてサックスコンサート
2019/10/12

▼haru
平成31年 4月

麗らかや梢の先の空の青

春愁や猫に慰められもして

朝寝覚め降るといふより叩く雨

ジャズを聴く座席にひとり春灯

龍天に昇る絵本を読み聞かせ

花の旅皇居一周してしまふ

歩きたき坂を歩いて花の昼

初虹や歩道橋より海見えて

春愁やチェーン絡みしネックレス

ネックレスのチェーンほどひてゐる日永

やはらかな朝日の中のさくらかな

珈琲をテラスに運び花の昼

桜蕊降る切り株のベンチかな

一群はハートのかたち芝桜

芝桜パッチワークのやうな丘

櫻貝さらふレースのやうな波

紙風船買つて小江戸は蔵の町

春の雨猫うづくまる室外機

花水木咲く国会議事堂前

無人なる駅エレベーター付く四月

改札の防犯カメラ燕の巣

春愁や目を閉ぢて吹くオカリーナ
2019/10/12

▼haru
平成31年 山茶花4月号

面接を待つ会場にオーバー脱ぐ

働けることの幸せ去年今年

初旅や故郷までの切符買ひ
2019/10/12

▼haru
平成31年 3月

コテージの雪下雫の森の中

水温むここは地球といふ大地

たんぽぽの径通学の子の通る

沈丁の匂ひ混じりし夜の匂ひ

やはらかな猫の肉球春の土

暖かや温泉に母連れて行く
2019/10/12

▼haru
平成31年 山茶花3月号

伐採の傷そのままに山眠る

白菜や宮沢賢治自耕の地

ふるさとは夢の中まで雪降れり

短日の歩幅大きくなりし帰路

駅で逢ひ駅で別れて日短
2019/10/12

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