落葉亭
過去ログ123
2021/10/5 14:28
▼haru令和2年 花鳥諷詠10月号
稲畑廣太郎 選
咲ききつて水の膨らむ水中花
▼haru令和2年 山茶花10月号
曳山車のすれ違ふには狭き路地
天気予報見てはため息梅雨長し
汗拭ふ二段ベッドを組み立てて
ラーメンと同じ値段のかき氷
心中の無になれるまで海月見て
▼haru令和2年 雑詠
告別の日の秋晴となりしかな
納骨を終へ秋の蚊に刺されけり
落葉掃く墓誌に父の名夫の名
値札付く夫のパジャマ冬に入る
なほ続く面会禁止冬に入る
本堂の裏の石段落葉踏む
白菊や遺影の夫と見つめ合ふ
うそ寒やまだ温もりのある体
柿届く発送人に亡夫の名
古本に銀杏黄葉の挟まれて
▼haru令和2年 山茶花9月号
鈴蘭を抱きて挙式会場へ
今跳ねし鯉萍の中に入る
鰻屋にテイクアウトの幟立つ
水替へてよりガーベラの背筋伸ぶ
ランボオを閉ぢて木蔭のハンモック
昼顔や潮の匂ひの埋立地
故郷の湧水甘し蛍飛ぶ