落葉亭
過去ログ56
2015/4/11 20:26
▼chiharu2015年、4月
初島に大島も見え花菜畑
麗らかや駅前通りのちんどん屋
ふところへ我が子のやうに仔猫抱く
やはらかき光の中の桜草
桜散る川面に映るタワーかな
ゆく春の無人となりし駅舎かな
法要の膳に小さき桜餅
おほかたの家にパンジー咲きし路地
地下鉄を出ればキャンパス春の風
黒船屋の猫抱く人の春愁ひ
駅までの桜並木の通学路
春昼や海軍カレー注文す
ジーンズの裾を捲つて磯遊び
尺を立てアスバラガスの伸び具合
口開けて犬が飛びつくしやぼん玉
チューリップ畑の中の風車小屋
花冷の新宿駅で待ち合はす
改札をするりと抜けて春コート
2015/4/11
▼chiharu山茶花、平成27年4月号
失物の見つからぬまま年の暮
大年の停泊船の汽笛かな
欠伸して鴨を見てゐる橋の上
仕方なく会社に泊まる雪の夜
拳もて涙を拭ふラガーかな
初旅の下ろし立てなるスニーカー
2015/4/11
▼chiharuホトトギス、平成27年4月号
十二月八日正午の鐘の音
冬日向母の温もりかも知れず
2015/4/11
▼chiharu2015年、3月
山荘は雪解雫の音の中
あたたかな言葉に解けゆく心
土筆摘む更地となりし母の家
朧月熱海に悲恋物語
大仏の胎内にゐてあたたかし
あたたかや母の笑顔といふ魔法
2015/4/11
▼chiharu山茶花、平成27年3月号
クッキーをずらして聖菓切り分くる
選挙カー師走の街を走り抜け
冬の夜の星の名前の汽車に乗る
子を寝かせ一人に戻り毛糸編む
マフラーに顎を埋めて人を待つ
2015/4/11