落葉亭

過去ログ64 2015/11/23 13:59

▼chiharu
ホトトギス、平成27年10月号

万緑を突つ切つてゆくケーブルカー

梅雨といふ当てにはならぬ予報かな

我が猫の毛を梳いてゐる梅雨晴間
2015/11/23

▼chiharu
平成27年、9月

寄せ返す波が教えてくれる秋

少しずつ雨が運んで来たる秋

観覧車仰げば鰯雲の街

通勤にまだ手放せぬ秋日傘

秋さくら無人となりし駅舎かな

防災日点検終へしエレベーター

赤い羽根挟み回覧板届く

十月や愛車のリコールの知らせ

やり投げて赤蜻蛉の空がある

天気図に台風二つありにけり

流星や日本最南端の島

やはらかく稲穂は風にたくましく

ゑのこ草ここは昔の通学路

願ふには足りぬ時間や流れ星

小鳥来るロッヂの窓は森へ向き

小鳥来るマクドナルドのテラス席

コスモスを揺らすトロッコ列車かな

コスモスと風の囁き聴く小径

コスモスの倒れし茎にある力

虫の音に包まれてゐる駅舎かな

夜学かな明かりの消えぬ吾子の部屋

車窓より月が見えたり隠れたり
2015/11/23

▼chiharu
山茶花、平成27年9月号

入梅やカラフルな傘欲しくなり

厨から母の歌声茄子の花

蜘蛛の糸髭に貼りつけ猫戻る

薫風や天守閣より海見えて

下駄箱の上の電話と水中花
2015/9/17

▼chiharu
ホトトギス、平成27年9月号

遠足のパンダ見てゐるガラス越し

囀やテラスの窓を全開に
2015/9/17

▼chiharu
平成27年、8月

願ふには足りぬ時間や流れ星

流星や日本最南端の島

砂浜に寝転んで見る天の川

明日咲く木槿の花の蕾かな

教会の庭に咲きゐし花芙蓉

一泊の別れの朝に咲く芙蓉

花芙蓉てふ日の丸に似たるもの

白きもの混じりし君の髪洗ふ

夜濯ぎや戦ひ終へしユニフォーム

渋滞は覚悟の上の揚花火

向日葵の背丈羨ましく思ふ

行く夏のあの日の空と海の青

行く夏に取り残されてゐるやうな

蝉時雨いま故郷の駅に降り

八月ももう終はりかと夫の言ふ

拾ひたる落蝉そつと木に戻す
2015/9/17

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