落葉亭

過去ログ98 2017/10/21 22:34

▼chiharu
平成29年 7月

扇風機スイッチを押す足の指

虹仰ぐ乗りしばかりのバス降りて

冷房に疲れし体持て余す

夕焼に響くオカリナビートルズ

飛機下りてハイビスカスを髪に挿す

カラフルなトマトの並ぶ社食堂

文庫本ほどの軽さの日傘買ふ

晩酌のトマトにソースかける父

昼寝するスマートフォンを握りしめ

種の向き見極めてよりマンゴー切る

その先の風を読みつつヨットゆく

ジーンズに合はせ白靴履きこなす

砂浜を歩く白靴脱ぎ捨てて

秋近しオリンピックは三年後

麦酒飲む愚痴を聴く人こぼす人

麦酒飲む昭和の匂ふ焼鳥屋

炎天下足取り重き象の群れ

やはらかな泡生きてゐる麦酒かな

ハワイへと娘の水着借りてゆく

御神木一回りして旅晩夏

ムームーを着て船上のディナーかな

炎天下駅に喫煙エリアなく

どら焼に蓮の焼印盆用意

炎天下代打満塁ホームラン

手水舎の波紋に触るる黒揚羽

夏帽子畳みて入れる旅鞄

向日葵の種とハムスターの骸

卓球のラリーのリズム汗光る

花カンナ赤は原始の色なりし

夕立のあとのアスファルトの匂ひ

ダリア咲く猫の額ほどの庭に
2017/10/21

▼chiharu
平成29年 山茶花7月号

花見にと仕事定時に切り上げて

山荘の今囀の中にあり

パンダ見ることも上野の花の旅

スイトピー揺れて風入れ替はる部屋

ココナツの匂ひのカレー春の昼

桜蘂降る鎌倉の切り通し
2017/10/21

▼chiharu
平成29年 ホトトギス7月号

離れ咲く沈丁の香の赤と白

卒業の描きし夢に未来あり

青饅のレシピをネット検索す
2017/10/21

▼chiharu
平成29年 6月

五月雨や母の写真のセピア色

海霧深写真海抜ゼロの釧路かな

貨物船海霧の中より現るる

雷鳴を聴くこの旅の記憶とし

漱石の直筆の文館涼し

梅雨籠る本の世界に没頭す

Googleは未来の縮図明易し

黴生えし喪服洗濯機で洗ふ

館涼し鮫を見てゐる子の視線

手のひらの汗を卓球台で拭く

あぢさゐの花を愛する会のひと

薫風や試合開始のホイッスル

六月の海を見てゐるだけで良し

国道の左右牧場の風涼し
2017/10/21

▼chiharu
平成29年 山茶花6月号

踏台を使ふ窓拭き春の昼

山荘は今囀の中にあり

揚げたてのメンチコロッケ春の昼

句会場女ばかりや桜餅
2017/10/21

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