落葉亭

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chiharu
平成30年 ホトトギス6月号

春を待つ心はいつも前を向く

クロッカス光踊つてゐる窓辺
chiharu
平成30年 5月

語るなら未来憲法記念の日

旅五月ホテルに置かれある聖書

初夏や踏切越えてすぐに海

夏めくや水平線の空の色

貝殻に耳当ててみる立夏かな

ソネットに起承転結修司の忌

花蜜柑飽くまで青き伊豆の海

母の日の宅配便のチャイムかな

根気よく粘り烏賊釣る男かな

戦なきこの世に生きて菖蒲風呂

五月雨や子規の写真のセピア色

こどもの日オムライスには旗を立て
chiharu
平成30年 山茶花5月号

水菜畑富士の湧水引いてあり

波しぶき被り海苔掻く男かな

大試験てふ人生の岐路に立つ

白梅の古木にありし力かな

春の雪傘差すほどのこともなく

米寿なる父にもバレンタインチョコ
chiharu
平成30年 ホトトギス5月号

初暦子の婚礼の日を印す

うたた寝の猫と毛布を分かち合ふ

春を待つ失ふものの何もなく

水色の夫のセーター借りにけり
chiharu
平成30年 4月

春風や少年にある志

春灯やボサノヴァ流すワインバー

春灯下シェイカーを振るバーテンダー

もも色の人魚の泪桜貝

手のひらに包むオカリナ春の風

童心に戻る眸に石鹸玉

巴里の朝クロワッサンとネーブルと

春愁やかつぱえびせん止まらない

燕来るシャッター下りし店ばかり

用もあり都庁の桜見ることも

惜春や魔物棲みたる甲子園

春愁やつかねばならぬ嘘一つ

イースター白き帽子の花飾り

退勤の夫を待つ間の花の下

退職の日の風船のブーケかな

通販の架空請求四月馬鹿

雨音に包まれてゐる朝寝かな

すやすやと子猫も夢をみるやうな

ほらそこに妖精のゐるチューリップ

チューリップおはやう先生おはやう

透き通る声の讃美歌イースター

遠足のパンダ見てゐて見られゐて

押入に眠るファミコン昭和の日