落葉亭


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Name haru
令和2年 山茶花6月号

囀やテラスの窓を開け放ち

卒業の子の制服の寄付をして

春ショール羽根をまとひてゐる如く

聖夜きて宝石箱のやうな街
 
Name haru
令和2年 6月

鈴蘭を抱きて挙式会場へ

今跳ねし鯉萍の中に入る

水飛沫鵜匠手綱を捌くたび

鰻屋にテイクアウトの幟立つ

短夜や蛍光色の置時計

青葉風駅より校舎までの坂

ランボオを閉ぢて木陰のハンモック

出来立ての代田に映る八海山

花栗や野菜の無人販売所

執筆の天城の湯宿河鹿鳴く

青葉風順番待ちの滑り台

泡盛のいつものオンザロックかな

何歳になつても虹は見たいもの

水替へてよりガーベラの背筋伸ぶ

海亀や船より祠眺めつつ

江ノ電の横切るお寺濃あぢさゐ

紫陽花の観賞券に人の列

花南天転居の鬼門裏鬼門

玄関にお寺のお札花南天

安眠を約すラベンダーの枕

夏の雲映りしビルの硝子窓

珈琲に添へたるミント夏至の朝

十薬の香をゆかしきと思ふとき

ハイウェイの行く手を阻む夏の霧

昼顔や潮の匂ひの埋立地

蛍飛ぶ光の余韻残しつつ

故郷の湧水甘し蛍飛ぶ

来訪はいつも突然さくらんぼ

青蔦や昔銭湯だつた家

蚤取粉撒いてカレンダーに丸を
 
Name haru
令和2年 山茶花5月号

父母も兄姉も医師大試験

自転車を押してミモザの花の下

春寒しシネマに一人きりの客

ヒヤシンス窓辺で手紙読む女

春兆すバレリーナめく赤い靴
 
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令和2年 5月

伽羅蕗や舌が覚へてゐるレシピ

庭いぢることもリハビリ牡丹咲く

若葉風散歩はリハビリの一つ

ジョギングの靴のみづいろ夕薄暑

子供の日メール既読の印つく

更衣して似たやうな色ばかり

物持ちの良くも悪くも更衣

キャベツ買ふ間隔空けて並ぶレジ

母の日のポストに不在連絡票

友達のやうな母ゐてカーネーション

鎌倉に海辺山の辺風は初夏

レース編む昔電話は玄関に

羽衣の海を背にして薪能

柿若葉屋根にソーラーパネル付き

やり投げの滞空時間青嵐

客船の遠くに見えて花蜜柑

湯の宿の石の回廊竹落葉

Kindleの寺山修司読む五月

葉桜となりて小さき駅舎かな

小満や声の集まる道の駅

麦の秋明日のパンを買ひにゆく

麦秋やバゲット包む巴里の地図

蚕豆を剥く法案の記事の上

風薫るフォークにパスタ巻きつけて

断捨離と呟いてゐる更衣

大学の名が停留所樟若葉

妃殿下の名前冠せし薔薇を撮る

阿弗利加に咲く大輪の紅薔薇

青嵐駅より校舎までの坂
 
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令和2年 山茶花4月号

元日の朝まつさらなシャツを着る

源泉の湯気たくましき寒玉子

冬ぬくし撫でれば喉を鳴らす猫

葉牡丹のプランター置き駐在所
 
Name haru
令和2年 4月

ヒヤシンス窓辺で手紙読む女

春昼や猫の背伸びのヨガポーズ

教会の長椅子硬く春の昼

春愁や星占いを立ち読みす

ふらここや廃校決まりたる母校

黄色い花を飾りたくなれば春

朧夜や路上ライブのサクソフォン

山椿日野俊基の処刑の地

朧夜の竜宮城のやうな駅

春昼や鳶の狙ひしハムサンド

目の前の桜水面のさくらかな

駅弁の箸の短し花の昼

春愁といふ片恋に似たるもの

囀の森の天空カフェテラス

まだ夢の続きをみたく朝寝かな

大朝寝枕を替へしだけのこと

沈丁や新車の届く日曜日

花の塵回転扉開くたび

花は葉に自宅学習続く日々

ベランダのシンビジウムを供花に切る

風光る空に近づく観覧車

春月や水平線に島一つ

珈琲派紅茶派のゐて春の昼

春昼や珈琲テイクアウトして

さりげなく娘の名と同じエリカ咲く

蟄居して桜隠しとなる都心

もう仕事行きたくないよ蝶休む

啄木忌レジ打つ指をぢつと見る

猫の子を抱く哀愁の喜劇人

春の雨不眠不休のICU

大朝寝しても今日から職がない

復興の町の一本桜かな

春灯や直感で入る焼鳥屋

囀や上下に揺らすティーバッグ

春風や胸ポケットに乗車券

イヤホンに微熱のこもる日永かな

珈琲の豆を挽く音日の永し

春風やふわりと揺るる服を着て

永き日や乗り放題の旅切符

恙無く進むリハビリ花は葉に

チューリップ日直の人水替へる

チューリップ花束にして誕生日

しゃぼん玉母のカレーの匂ふ路地

囀や盲導犬のゐるテラス

鮑喰ぶ伊豆の地酒の添へてあり
 
Name haru
令和2年 山茶花3月号

短日の電車遅延のアナウンス

聖樹はやホテルのエントランスにも

聖夜来て宝石箱のやうな街

病棟の隅にもクリスマスツリー

シャンパンの泡の弾けてクリスマス
 
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