落葉亭

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chiharu
平成30年 山茶花4月号

悴みて始発電車を待ちにきり

原点に戻りしこころ初蛍光灯

病さへ力に変へて春を待つ

積雪の見知らぬ町にゐる如く

chiharu
平成30年 ホトトギス4月号

早咲きの梅一輪といふ気品

定番の黒を選びて冬帽子

つい肩に力の入る寒さかな
chiharu
平成30年 3月

春夕焼追ひかけ都庁まで歩く

囀りや森の扉を開け放ち

雛飾る母となれたること嬉し

春の月ワイングラスの向ふ側

春雨や君と暮らした三十年
chiharu
平成30年 山茶花3月号

早咲きの梅一輪といふ気品

駅ビルの聖樹に人を待ちにけり

診察のドアにもクリスマスリース

(若草集巻頭)
山茶花や泣き出しさうな空仰ぎ

駅で会ひ駅で別れて日短

うたた寝の猫と毛布を分かち合ふ

(瞳々集)
まつ白なファー柔らかな冬帽子
chiharu
平成30年 ホトトギス3月号

焚火するにも消防署まで電話

セーターの黒一枚は欲しき色

鮟鱇鍋母の手作り味噌届く