haru
令和2年 11,12月 雑詠
デリバリーランチ勤労感謝の日
山茶花の咲いて彩り添へし庭
駅前の街頭募金十二月
ストーブの前が定位置猫眠る
十二月電子マネーを使ひ切り
流感や母は入れぬ男子寮
聖夜来るフライドチキン予約して
クリスマスドラマのやうな恋をして
着膨れて炊き出しボランティアの人
寒空の下街角の靴磨き
やうやつと欄間の障子貼りにけり
古日記夫の闘病記録とも
煮凝りの煮汁何度も継ぎ足して
前向きに生くると決めて去年今年
シャッターに閉店案内十二月
アフリカの大地で育ち冬の薔薇
2階まで雪の積もつてゐる生家
泣きながら蒲団を頭まで被る
烏瓜夕暮れ空のやうな色
デリバリーランチ勤労感謝の日
山茶花の咲いて彩り添へし庭
駅前の街頭募金十二月
ストーブの前が定位置猫眠る
十二月電子マネーを使ひ切り
流感や母は入れぬ男子寮
聖夜来るフライドチキン予約して
クリスマスドラマのやうな恋をして
着膨れて炊き出しボランティアの人
寒空の下街角の靴磨き
やうやつと欄間の障子貼りにけり
古日記夫の闘病記録とも
煮凝りの煮汁何度も継ぎ足して
前向きに生くると決めて去年今年
シャッターに閉店案内十二月
アフリカの大地で育ち冬の薔薇
2階まで雪の積もつてゐる生家
泣きながら蒲団を頭まで被る
烏瓜夕暮れ空のやうな色
haru
令和2年 花鳥諷詠10月号
稲畑廣太郎 選
咲ききつて水の膨らむ水中花
稲畑廣太郎 選
咲ききつて水の膨らむ水中花
haru
令和2年 山茶花10月号
曳山車のすれ違ふには狭き路地
天気予報見てはため息梅雨長し
汗拭ふ二段ベッドを組み立てて
ラーメンと同じ値段のかき氷
心中の無になれるまで海月見て
曳山車のすれ違ふには狭き路地
天気予報見てはため息梅雨長し
汗拭ふ二段ベッドを組み立てて
ラーメンと同じ値段のかき氷
心中の無になれるまで海月見て
haru
令和2年 10月 雑詠
告別の日の秋晴となりしかな
納骨を終へ秋の蚊に刺されけり
落葉掃く墓誌に父の名夫の名
値札付く夫のパジャマ冬に入る
なほ続く面会禁止冬に入る
本堂の裏の石段落葉踏む
白菊や遺影の夫と見つめ合ふ
うそ寒やまだ温もりのある体
柿届く発送人は亡夫の名
古本に銀杏黄葉の挟まれて
告別の日の秋晴となりしかな
納骨を終へ秋の蚊に刺されけり
落葉掃く墓誌に父の名夫の名
値札付く夫のパジャマ冬に入る
なほ続く面会禁止冬に入る
本堂の裏の石段落葉踏む
白菊や遺影の夫と見つめ合ふ
うそ寒やまだ温もりのある体
柿届く発送人は亡夫の名
古本に銀杏黄葉の挟まれて
haru
令和2年 山茶花9月号
鈴蘭を抱きて挙式会場へ
今跳ねし鯉萍の中に入る
鰻屋にテイクアウトの幟立つ
水替へてよりガーベラの背筋伸ぶ
ランボオを閉ぢて木蔭のハンモック
昼顔や潮の匂ひの埋立地
故郷の湧水甘し蛍飛ぶ
鈴蘭を抱きて挙式会場へ
今跳ねし鯉萍の中に入る
鰻屋にテイクアウトの幟立つ
水替へてよりガーベラの背筋伸ぶ
ランボオを閉ぢて木蔭のハンモック
昼顔や潮の匂ひの埋立地
故郷の湧水甘し蛍飛ぶ