haru
令和2年 2月
立春や横文字多き龍の絵馬
春寒しシネマに一人きりの客
恋猫や男と歩く歌舞伎町
自転車を押してミモザの花の下
コンサート中止の知らせ冴返る
疫病に売り切れとなるマスクかな
立春や横文字多き龍の絵馬
春寒しシネマに一人きりの客
恋猫や男と歩く歌舞伎町
自転車を押してミモザの花の下
コンサート中止の知らせ冴返る
疫病に売り切れとなるマスクかな
haru
令和2年 山茶花1月号
和菓子屋の暖簾下ろして秋の暮
ここからが金木犀の香の範囲
栗をむくオリンピックの記事の上
朝寒や犬の散歩を日課とし
結納の膳の松茸づくしかな
和菓子屋の暖簾下ろして秋の暮
ここからが金木犀の香の範囲
栗をむくオリンピックの記事の上
朝寒や犬の散歩を日課とし
結納の膳の松茸づくしかな
haru
令和2年 1月
早番の目覚めぬ体星冴ゆる
セーターの母とは違ふ畳み方
スクラムを組み一丸となるラガー
病窓に初島見えて初御空
源泉の湯気たくましき寒卵
柴又駅に寅さん像冬日向
水筒に湯気ひとすじの冴ゆる朝
寒晴やスカイツリーと富士山と
春を待つ猫が眺める窓の外
待春や悩みも生きてゐる証
早番の目覚めぬ体星冴ゆる
セーターの母とは違ふ畳み方
スクラムを組み一丸となるラガー
病窓に初島見えて初御空
源泉の湯気たくましき寒卵
柴又駅に寅さん像冬日向
水筒に湯気ひとすじの冴ゆる朝
寒晴やスカイツリーと富士山と
春を待つ猫が眺める窓の外
待春や悩みも生きてゐる証
haru
令和1年 山茶花12月号
虫の音に包まれてゐる無人駅
小鳥来て午後の紅茶にしましょうか
童心に戻り団栗拾ひけり
長き夜の既読のつかぬメッセージ
通勤にまだ手離せぬ秋日傘
虫の音に包まれてゐる無人駅
小鳥来て午後の紅茶にしましょうか
童心に戻り団栗拾ひけり
長き夜の既読のつかぬメッセージ
通勤にまだ手離せぬ秋日傘
haru
令和1年 12月号
単線に待ち時間あり日短か
留守番の夫におでんを作り置く
生きてゐる証のやうな寒さかな
短日の電車遅延のアナウンス
聖樹はやホテルのエントランスにも
漆黒の闇の深さや冬銀河
十二月八日を知らぬ人の増へ
ゴスペルのカーテンコール十二月
潮騒の届きし駅舎花アロエ
レッスンの第九の響く十二月
イブの夜の交差点よりタワーの灯り
聖夜来る宝石箱のやうや街
病棟の隅にもクリスマスツリー
逆さまの広告吊るす暖房車
救急車みな出払つてゐる師走
風邪の子に届く給食コッペパン
ポケットに隠せし両手息白し
単線に待ち時間あり日短か
留守番の夫におでんを作り置く
生きてゐる証のやうな寒さかな
短日の電車遅延のアナウンス
聖樹はやホテルのエントランスにも
漆黒の闇の深さや冬銀河
十二月八日を知らぬ人の増へ
ゴスペルのカーテンコール十二月
潮騒の届きし駅舎花アロエ
レッスンの第九の響く十二月
イブの夜の交差点よりタワーの灯り
聖夜来る宝石箱のやうや街
病棟の隅にもクリスマスツリー
逆さまの広告吊るす暖房車
救急車みな出払つてゐる師走
風邪の子に届く給食コッペパン
ポケットに隠せし両手息白し