落葉亭

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haru
令和1年 山茶花7月号

初虹や歩道橋より海見えて

やはらかな朝日の中のさくらかな

桜貝さらふレースのやうな波

歩きたき坂を歩きて花の昼
haru
令和1年 6月

あぢさゐに音符のやうな雨雫

六月の海に眠つてゐる真珠

草笛の心そのまま音となり

怪談のからくり模型館涼し

レンズ越し光と影と紫陽花と

道野辺のあじさゐ雨をためらはず

オカリナに涼風の音森の音

さくらんぼ外して食べるプリンかな

梅雨籠悩ましきこて二つ三つ

どくだみの匂ふ空家の又一つ

十薬の花十字架の形して

五月雨や男と歩く歌舞伎町

梅雨寒やゆつくり溶かす舌下錠

サルビアや古きギターのアルペジオ

日の匂ひ包みしタオル梅雨晴間
haru
令和1年 山茶花6月号

窓叩く雨に朝寝の覚めにけり

花ミモザまだ来ぬ人を待つ紅茶

長雨の上がりし朝の花ミモザ
haru
令和1年 山茶花6月号
私の好きな句より

中原雅美 選

伐採の傷そのままに山眠る
haru
平成31年 5月

駅前に床屋たばこ屋夏つばめ

定年の夫のスーツ更衣

子どもの日オムライスには旗立てて

訳ありのワゴンセールのカーネーション

父母の遺せし薔薇のまくれなゐ

湯の宿を廻る回廊竹落葉

新樹光いつものカフェの二階席

五月雨や珈琲とブルースの朝

貝殻に耳当ててみる立夏かな

やはらかな木洩れ日の束若葉風

窓の無きトロッコ列車谷若葉

紅薔薇を抱いてサックスコンサート