妹はまだ小さかったけれど
でも私は妹からあざとさを感じていた
それは今思えば私の見方によるものだったかもしれない
だけど当時の私にはそう思えた
それから、妹は私ほど叩かれたりはしなかった
妹は小さかったから、お母さんもあたまのどこかで判断していたのかもしれない
妹の失敗が私の責任になることも嫌だった
妹が悪いのに私が叩かれるというのはしょっちゅうだった
私と喧嘩をしたり、自分の思い通りにならないことがあると
妹はすぐにお母さんに言いに行った
お母さんは『お姉ちゃんなんだから』と私を叱った
我慢する私のそばで、妹は何食わぬ顔でやりたいことをやった
そういうのがとても嫌だった
それでも他のことで妹がお母さんから叩かれると可哀相で、私は妹を庇った
そこでお母さんの怒りの矛先が私に移ると、妹はまた平気な顔をしていなくなった
そして私が叩かれ終わったあとに、またお母さんと仲良くして、
なんだか、そういうことの繰り返しだった気がする
本当に、今思うと妹は悪くなかったのかもしれない
きょうだい喧嘩をしてお母さんに泣きつくのなんて、小さい子にはよくあることだ
でも当時の私にはこんなふうに思う余裕が無かった
結局のところ、悪いのは私ということになるのかな、
でも私は妹からあざとさを感じていた
それは今思えば私の見方によるものだったかもしれない
だけど当時の私にはそう思えた
それから、妹は私ほど叩かれたりはしなかった
妹は小さかったから、お母さんもあたまのどこかで判断していたのかもしれない
妹の失敗が私の責任になることも嫌だった
妹が悪いのに私が叩かれるというのはしょっちゅうだった
私と喧嘩をしたり、自分の思い通りにならないことがあると
妹はすぐにお母さんに言いに行った
お母さんは『お姉ちゃんなんだから』と私を叱った
我慢する私のそばで、妹は何食わぬ顔でやりたいことをやった
そういうのがとても嫌だった
それでも他のことで妹がお母さんから叩かれると可哀相で、私は妹を庇った
そこでお母さんの怒りの矛先が私に移ると、妹はまた平気な顔をしていなくなった
そして私が叩かれ終わったあとに、またお母さんと仲良くして、
なんだか、そういうことの繰り返しだった気がする
本当に、今思うと妹は悪くなかったのかもしれない
きょうだい喧嘩をしてお母さんに泣きつくのなんて、小さい子にはよくあることだ
でも当時の私にはこんなふうに思う余裕が無かった
結局のところ、悪いのは私ということになるのかな、
私が妹を敵視したり憎いと思うようになったきっかけには
すべてお母さんが絡んでいる
(それをお母さんのせいにするわけではなくて)
時々は、お母さんの怒りが妹に向かうこともあった
その時、私はそれを黙って見ていられなくて、妹を庇っていた
うずくまって叩かれている妹に、私が覆いかぶさっていた
私の年齢がまだ一桁だった頃だと思うから、その時の妹は2〜3歳だったと思う
私が叩かれている時は、妹は見て見ぬふりをしていた
止めに入るわけでもなく、知らないふりをしていた
『私はいつも助けてあげてるのに』と私は思った
私を叩いてある程度気が済んだお母さんのもとに妹は行った
お母さんは私を叩いている時とは別人のような態度で妹を可愛がった
可愛がられながら妹は私のほうを見ていた
私はその時、激しい憎悪のようなものを感じた
妹はまだ2〜3歳だったから
止めに入るのは身体的に無理だったと思う
助けるという感覚を持てたのかどうかも分からない
でも当時の私にはそういう考えが無かったのだと思う
今ならこうして考えられるのだけど
すべてお母さんが絡んでいる
(それをお母さんのせいにするわけではなくて)
時々は、お母さんの怒りが妹に向かうこともあった
その時、私はそれを黙って見ていられなくて、妹を庇っていた
うずくまって叩かれている妹に、私が覆いかぶさっていた
私の年齢がまだ一桁だった頃だと思うから、その時の妹は2〜3歳だったと思う
私が叩かれている時は、妹は見て見ぬふりをしていた
止めに入るわけでもなく、知らないふりをしていた
『私はいつも助けてあげてるのに』と私は思った
私を叩いてある程度気が済んだお母さんのもとに妹は行った
お母さんは私を叩いている時とは別人のような態度で妹を可愛がった
可愛がられながら妹は私のほうを見ていた
私はその時、激しい憎悪のようなものを感じた
妹はまだ2〜3歳だったから
止めに入るのは身体的に無理だったと思う
助けるという感覚を持てたのかどうかも分からない
でも当時の私にはそういう考えが無かったのだと思う
今ならこうして考えられるのだけど
私自身も家族にとってはそういう存在だろうと思う
妹とお父さんについては
私に対する『愛している』の部分が在るかどうか定かではないけれど
私はもし妹から嫌われたり恨まれたりしているとしても
それは仕方のないことだと思える
私は妹を殴ったり虐待していたわけではないけれど
私が妹に抱いていた感情や、時々の接し方は、悪いものだったと思うから
妹とお父さんについては
私に対する『愛している』の部分が在るかどうか定かではないけれど
私はもし妹から嫌われたり恨まれたりしているとしても
それは仕方のないことだと思える
私は妹を殴ったり虐待していたわけではないけれど
私が妹に抱いていた感情や、時々の接し方は、悪いものだったと思うから
多分『愛している』けれど『嫌い』な存在
私にとって、
おそらく家族全員がそれだと思う
私にとって、
おそらく家族全員がそれだと思う
私は妹のことを守りたいと思っていた
私より6歳も下の小さい妹を不憫に思うことがあった
でも相反する感情もあった
私には妹を敵視する感情があった
疎ましく思うことがあった
『私のお母さん』を奪う邪魔な存在だと感じたりした
守りたいという感情と嫌悪する感情のふたつがあって
私は時々どうしようもない罪悪感に襲われた
私より6歳も下の小さい妹を不憫に思うことがあった
でも相反する感情もあった
私には妹を敵視する感情があった
疎ましく思うことがあった
『私のお母さん』を奪う邪魔な存在だと感じたりした
守りたいという感情と嫌悪する感情のふたつがあって
私は時々どうしようもない罪悪感に襲われた
妹は良くも悪くも私より自由だった
でも、それ、が妹の寂しさの原因でもあるのかなと思ったりする
妹は『幸福』だっただろうか
私はそうであったと言えばそうだったし
そうでなかったと言えばそうでなかった
もし妹が『幸福』だった、と言えないとしたら
うちでは『対象』になってもならなくても
『幸福』ではなかったかもしれないということになる
でも、それ、が妹の寂しさの原因でもあるのかなと思ったりする
妹は『幸福』だっただろうか
私はそうであったと言えばそうだったし
そうでなかったと言えばそうでなかった
もし妹が『幸福』だった、と言えないとしたら
うちでは『対象』になってもならなくても
『幸福』ではなかったかもしれないということになる
お母さんの感情が向かう先は
妹より私のほうが多かった
良いものも、そうでないものも
いつだったか、ある程度大人になってから
『お姉ちゃんのことがうらやましかった』
と妹が言った
私にはその言葉の意味が解る
けれど、私のほうには妹をうらやむ感情があった
それを妹に話したことは無かったかもしれないけれど
でも事実だ
妹より私のほうが多かった
良いものも、そうでないものも
いつだったか、ある程度大人になってから
『お姉ちゃんのことがうらやましかった』
と妹が言った
私にはその言葉の意味が解る
けれど、私のほうには妹をうらやむ感情があった
それを妹に話したことは無かったかもしれないけれど
でも事実だ
私はもっと妹を守ってあげるべきだったかもしれない
時々は、叩かれている妹を物理的に庇ったけれど
そういうことだけではなくて、もっと、守ってあげればよかった、のかな
時々は、叩かれている妹を物理的に庇ったけれど
そういうことだけではなくて、もっと、守ってあげればよかった、のかな
お母さんの印象が強すぎるせいなのかな
子供の私から見ても立場的にはお父さんよりお母さんのほうが上だった
お母さんが不機嫌な時は
家の中の雰囲気まですべて変わった
お母さんを中心に家族は在ったと思う
家は、何かが張り詰めていたような気がする
少なくとも私にはそう感じられた
もしかしたら似たようなものを妹も感じていたかもしれない
子供の私から見ても立場的にはお父さんよりお母さんのほうが上だった
お母さんが不機嫌な時は
家の中の雰囲気まですべて変わった
お母さんを中心に家族は在ったと思う
家は、何かが張り詰めていたような気がする
少なくとも私にはそう感じられた
もしかしたら似たようなものを妹も感じていたかもしれない
家族の中ではお父さんの記憶がいちばん少ない
多分夜は家にいたはずなんだけど
私の思い出す家にはお父さんの姿がほとんど見当たらない
多分夜は家にいたはずなんだけど
私の思い出す家にはお父さんの姿がほとんど見当たらない