落葉亭
過去ログ104
2018/3/6 13:02
▼chiharu平成30年 1月
早咲の梅一輪といふ気品
星冴ゆる湖面に映る逆さ富士
初暦子の婚礼の日を印す
初泣きすフランダースの犬を観て
出初め式大漁旗の翻る
初籤神の言葉を授かりて
願ぎ事はいつも同じや初詣
参拝の日の初雪となりにけり
茹で上げし七草加へ離乳食
おまじなひみたく七草唱へけり
全校生徒二十人歌留多会
春を待つ失ふものは何もなし
断崖に深く根を張る水仙花
動かざる寒鯉のみな同じ向き
原点に戻りしこころ初稽古
悴みて始発電車を待ちにけり
病さへ力に変へて春を待つ
江ノ島の黒きポストに賀状出す
雪原に続くなだらかなる起伏
灯台を巡らせて咲く野水仙
寒鯉や納屋に仕舞ひしままの餌
あかがねの冬満月を照らす闇
ありつたけ重ね着をして外出す
寒卵尖りし方を上に置く
未来より流るる時間春を待つ
雲に乗るスノーボードの技光る
スケートを極めし人に孤独あり
伊豆の雪傘差すほどのこともなく
降る雪に鉛筆の字の濃くなりて
マスクせし女医の睫毛の長きこと
2018/3/6
▼chiharu平成30年 山茶花3月号
早咲きの梅一輪といふ気品
駅ビルの聖樹に人を待ちにけり
診察のドアにもクリスマスリース
(若草集巻頭)
山茶花や泣き出しさうな空仰ぎ
駅で会ひ駅で別れて日短
うたた寝の猫と毛布を分かち合ふ
(瞳々集)
まつ白なファー柔らかな冬帽子
2018/3/6
▼chiharu平成30年 ホトトギス3月号
焚火するにも消防署まで電話
セーターの黒一枚は欲しき色
鮟鱇鍋母の手作り味噌届く
2018/3/6
▼chiharu大試験てふ人生の岐路に立つ
淡雪や町に無人の測候所
米寿なる父にもバレンタインチョコ
バレリーナめく赤い靴春兆す
波しぶき被り海苔掻く男かな
水菜畑富士の湧水命とし
早春の星となりたる師を偲ぶ
師の星を一つ加へて春銀河
水菜畑富士の湧水命とし
2018/3/6
▼chiharu平成30年 山茶花2月号
セーターの黒一枚は欲しき色
休みつつ上る石段坂紅葉
一日にひとつと決めて蜜柑喰ぶ
法螺の音の響く境内冬紅葉
2018/3/6