落葉亭
過去ログ111
2019/1/6 15:10
▼chiharu平成30年 ホトトギス11月号
自由てふ海月のやうに生きたくて
髪洗ふ心の張りを取り戻し
旗立ててゐる海の日の氷川丸
2019/1/6
▼chiharu平成30年 10月
小鳥来て午後の紅茶にしませうか
珈琲の冷める早さや秋寒し
紅葉撮る人と野鳥を撮る人と
正座して深呼吸して寺紅葉
秋雨や少し大きな夫の傘
小鳥来る風の謳つてゐるベンチ
そぞろ寒愚痴を言ふとも言はずとも
編隊はV字のかたち鳥渡る
編隊を崩すことなく鳥渡る
母の手の林檎うさぎとなりにけり
探査機の打ち上げられし十三夜
電飾を吊し都心の冬支度
彩食の野鳥の森の冬支度
柚子味噌を貰ふエレベーターの中
小鳥来る演奏会が始まるよ
秋日和釣り人と猫までの距離
2019/1/6
▼chiharu平成30年 山茶花10月号
髪洗ふ心の張りを取り戻し
向日葵の背丈羨ましく思ふ
白南風や海を見てゐる風見鶏
切口の角の鋭き水羊羹
民宿の窓に夜干しの水着かな
帰省子のよく寝よく食べよく笑ふ
文庫本ほどの軽さの日傘買ふ
2019/1/6
▼chiharu平成30年 10月号
こどもの日オムライスには旗立てて
約束の人待つテラス風涼し
薔薇抱いてカーテンコール鳴り止まず
2019/1/6
▼chiharu平成30年 9月
赤蜻蛉子を肩車して帰る
小鳥来るいつもの東屋のベンチ
立ち漕ぎて赤蜻蛉の空がある
落款の位置を確かめ秋灯下
ゑのころや記憶に棲みし猫のゐて
秋天やビルに緊急ヘリポート
古本に残る傍線秋灯下
天と地を繋ぐ道程曼珠沙華
敬老の日のオカリナのコンサート
鶏頭を活け子規のこと虚子のこと
鶏頭を活け論争の今昔
コスモスの揺れゐて風の悪戯に
虫の音に包まれてゐる無人駅
白萩や地蔵菩薩の傍らに
本堂に続く石段萩こぼる
月の夜の石塀小路歩きけり
雨降つて秋薔薇息を吹き返す
台風を案じるメール友より来
秋灯下辞書より探す文字ひとつ
木洩れ日を歩す鈴なりの葡萄園
雑草といふ草はなし草の花
歓声を乗せて豆汽車秋桜
流星や窓辺に運ぶ椅子ひとつ
2019/1/6