落葉亭
過去ログ131
2022/5/3 15:19
▼haru令和3年 山茶花8月号
真白なるカーネーションを供花に挿す
入籍を済ませ憲法記念の日
神棚に貼る命名書子どもの日
迷ひなく白を選びて夏帽子
海亀の甲羅測りし飼育員
▼haru令和3年 7月、8月雑詠
太陽の味のトマトを齧りけり
寺涼し陰翳深き如来像
看板を下ろすクレーン炎天下
夕暮の海を見てゐるソーダ水
歓声の響く球場夾竹桃
軍事基地囲みしフェンス夾竹桃
近さうで遠きバス停炎天下
揚羽来る歩道に小さき水溜り
手のひらで卓球台の汗拭ふ
炎天下スーツ着こなしサラリーマン
海辺まで歩いて二分避暑ホテル
鍬形や飼育ゼリーの赤青黄
ワクチンの接種会場秋暑し
蜩や洗濯物を畳みつつ
▼haru令和3年 山茶花7月号
春愁や見知らぬ街に一人ゐて
オカリナを吹く公園の花は葉に
かけてゐし眼鏡を探す四月馬鹿
囀りて始発列車を待つホーム
レコードに息を吹きかけ昭和の日
▼haru令和3年 6月雑詠
三時間おきの授乳や明易し
目高飼ふ池に小さき貝の棲み
高層のビルにクレーン夏の雲
香煙に空気整ひ梅雨に入る
雨の日を選び紫陽花寺を訪ふ
紫陽花や駅へと急ぐ通学路
写真撮る登山電車と紫陽花と
ガーベラの変はり咲きてふブーケかな
夏草やカーナビに無き岐れ道
市役所の壁一面の蔦青葉
球場に響く快音梅雨晴間
瑠璃色の硝子の器さくらんぼ
コンテナに昔の屋号夏蜜柑
紫陽花やライトアップの登山線
荒梅雨や土嚢積み上げクレーン車
短命と知りつつ目高飼ひにけり
毎朝の日課に庭の草むしり
▼haru令和3年 山茶花6月号
春惜しみつつ特急のラストラン
鳥雲に入り廃校の時計台
光堂へと一本の雪解道
クレソンを摘む湧水のあたたかし