落葉亭

過去ログ14 2013/12/1 15:48

▼chiharu
ホトトギス、12月号

この道もいつか果てありカンナ咲く

花たばこ摘みて縁切寺にあり
2013/12/1

▼chiharu
2013年、11月

人肌にミルク温め今朝の冬

高雄へと十一月の予定書く

落葉して風の行方の定まらず

朴落葉風の結界ひるがへす

ポケットに手を入れる癖小春空

旅心誘ふCM冬紅葉

三時間おきの面会日短

家でだけ着るセーターの赤い色

短日の近道坂道急ぎ足

短日の歩幅大きくなりし帰路

落葉掃く箒の音とハミングと

会話ふと逸らしたくなり蜜柑剥く

冬の灯やスカイツリーの青淡し

冬紅葉高台寺には人の列

石蕗咲いて父の忌日の近づきぬ

小夜時雨避けて屋台のコップ酒

煙霧濃し東京は星見えぬ街

盲導犬募金を済ませ冬ぬくし

零れたる灯油の匂ひ冬の朝
2013/12/1

▼chiharu
山茶花、11月号

羽のない小さき天使昼寝の子

都電まで片陰のなき大通り

ただいまも言はず麦茶を流し込む

帰省子のまづ仏壇に手を合はす

文月や返信のまだ書けぬまま
2013/12/1

▼chiharu
ホトトギス、11月号

人を待つ午後の噴水広場かな

ソーダ水その一言が言へなくて

みどり児の大きな欠伸昼寝覚
2013/12/1

▼chiharu
2013年、10月

秋天やビルに緊急ヘリポート

夕暮の埠頭を渡る秋の風

ため息は心の言葉秋夜長

鳥渡る空に国境なかりけり

一日を歩いて自由秋の風

歩きたき日や秋晴の空の下

金木犀咲き始めたる誕生日

秋天へ天使の梯子登りしか

運動会天気次第といふ予定

あの町もこの町も今日運動会

綱を引く心一つに運動会

露草に朝の光の雫かな

高台寺ライトアップの紅葉かな

すれ違ふ人も旅びと秋の風

夜なべする明日の仕事の下準備

団栗の紛れてゐたる玩具箱

秋思なほふっと途切れしオルゴール

スカイツリー仰げば秋の虹立ちぬ

空っぽのわたしの心秋の風

コスモスの好きより始む花占ひ

神護寺の門見えて来し薄紅葉

点滴の落ちて音せず夜の長し

諍ひのあとの沈黙秋の雨

見上げれば龍の居さうな秋の雲

授業料払ひ終へたる秋の暮

再びの父の入院秋の暮

秀吉とねねの眠りし紅葉寺

入院の父に林檎を剥いてやる

柿剥いてふとのぼさんと呼んでみる

門前に人の列なす紅葉寺

人住まふこと無き家の蔦紅葉

釣人の傍に野良猫秋日和

江ノ電に乗るだけで良し秋うらら
2013/12/1

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