落葉亭
過去ログ23
2014/4/3 15:12
▼chiharuホトトギス、平成26年4月
ふるさとは夢の中まで雪降れり
学生の君に毛皮は似合はない
届きたる吾子の街にも雪便り
冬帽子被り方にもある気品
2014/4/3
▼chiharu2014年、3月
春光や伏し目がちなるマリア像
あたたかや笑つてるよな猫のかほ
包まれてゆく囀りの中にあり
囀りや我がためのみの音楽会
新参の一番打者は転校生
春雨や猫の戻らぬ一週間
春泥のスパイク並ぶサッカー部
男の子ひとり混じりし雛の席
春昼やカタログに貼る領収証
啓蟄や吾子に眩しき未来あり
啓蟄の日の旅立ちとなりにけり
定期券期限残して卒業す
引越のコンテナ二つ春の雨
蛇穴を出て前向きに生きてゆく
指触るるとき桜貝こはれさう
翳しゐて日に透けてゐる桜貝
春ショール羽を纏ひてゐる心地
春星の君は心の中にあり
陽炎ひて遠ざかりゆく君のバス
春雨や別れを告げる汽車のベル
2014/4/3
▼chiharu山茶花、平成26年3月号
レシートの溜まりし財布十二月
ロンドンの二階建てバス漱石忌
水仙の俯きながら咲きにけり
マスクして余計なことは言はずおく
2014/3/20
▼chiharuホトトギス、平成26年 3月号
木の葉髪恋に齢のなけれども
濡れし服乾かすことも時雨宿
束の間の逢瀬となりぬ日短
家でだけ着るセーターの赤い色
2014/3/20
▼chiharu2014年、2月
雪遊び真つ赤に染まる吾子の頬
日脚伸ぶ茶房の椅子を温めて
来るはずのバスまだ来ない春の雪
吾子の住む大阪に雪積もる夜
葉書出す雪積もりたるポストかな
大雪や朝刊届く午後三時
花束を投げるスケートリンク内
春寒や更新のなき師のブログ
銀の鈴落として恋の猫戻る
初午や糊の匂ひの狐面
バレンタインチョコ空箱を捨てられず
春めきて耳元揺るるイヤリング
早春の風に旋律ありにけり
若布干す赤き灯台立つ港
若布干す風の奏でしハーモニー
2014/3/20