落葉亭

過去ログ25 2014/5/5 15:15

▼chiharu
ホトトギス、平成26年5月号

来客や薪ストーブでピザを焼く

棒となる足なげ出してスキー宿

就職の決まりたる子と初詣

暖炉の火見つめて語り合ふことも
2014/5/5

▼chiharu
2014年、4月

もう誰もゐない教室春夕焼

鳥交る社殿の奥の御神木

とほき日の少女の瞳しゃぼん玉

振り返る子育ての日々しゃぼん玉

しゃぼん玉空に溶けゆくまでの距離

ボサノバのリズム軽やか春の宵

欠伸して各駅停車を待つ日永

束ねたる髪を解きて春の風

待ち惚け喰ふ満開の花の下

桜散る象舎の脇に献花台

夜桜を見るためだけの遊園地

夢乗せし豆汽車花の遊園地

桜蕊降る切り株のあたらしく

人知れず土に還つてゆく落花

見納めはいつもこの山桜かな

初めての駅あちこちに燕の巣

菜の花や棺の中を明るうす

チューリップの赤は元気になれる色

チューリップおはやう皆さんおはやう

ゆふぐれの風は紫ライラック

フリージア摘みて高速船の帰路

かすみ草引き立て役と言はれても

花束に欠かすこと無き霞草

今生れし仔馬が立つを待つ時間

躑躅咲く築地国立がんセンター

リターンにテニスコートの風光る

藤棚の下で広げるお弁当

タクシーの一輪挿しに濃山吹
2014/5/5

▼chiharu
山茶花、平成26年4月

降り積もる都心の雪にとまどひぬ

たつたいま氷柱光となるところ

マスクして隠しとほせる嘘ひとつ

八十の母の手返し餅を搗く

空仰ぎ負けて悔なきラガーとも
2014/4/10

▼chiharu
ホトトギス、平成26年4月

ふるさとは夢の中まで雪降れり

学生の君に毛皮は似合はない

届きたる吾子の街にも雪便り

冬帽子被り方にもある気品
2014/4/10

▼chiharu
2014年、3月

文いつもひと言なれどあたたかし

春光や伏し目がちなるマリア像

春寒やまだ届かない猫ちぐら

あたたかや笑つてるよな猫のかほ

膝に猫乗せてうたた寝あたたかし

包まれてゆく囀りの中にあり

囀りや我がためのみの音楽会

新参の一番打者は転校生

春雨や猫の戻らぬ一週間

春泥のスパイク並ぶサッカー部

男の子ひとり混じりし雛の席

春昼やカタログに貼る領収証

啓蟄や吾子に眩しき未来あり

啓蟄の日の旅立ちとなりにけり

定期券期限残して卒業す

引越のコンテナ二つ春の雨

蛇穴を出て前向きに生きてゆく

指触るるとき桜貝こはれさう

翳しゐて日に透けてゐる桜貝

春ショール羽を纏ひてゐる心地

春星の君は心の中にあり

陽炎ひて遠ざかりゆく君のバス

春雨や別れを告げる汽車のベル
2014/4/10

2624

掲示板に戻る