落葉亭
過去ログ31
2014/7/5 15:54
▼chiharu山茶花、平成26年、7月号
桜蕊降る切株のあたらしく
花束に欠かすことなき霞草
人知れず土に還つてゆく落花
とほき日の少女の瞳しやぼん玉
見納めはいつもこの山桜かな
2014/7/5
▼chiharuホトトギス、平成26年、7月号
春ショール羽を纏ひてゐる心地
春光や伏し目がちなるマリア像
子の丈に屈めば土筆見つけたり
男の子ひとり混じりし雛の客
2014/7/5
▼chiharu2014年、6月
宝石のやうに光ぬさくらんぼ
モディリアニの女の瞳青時雨
五月雨や古きピアノで弾くショパン
蜘蛛の糸髭に貼り付け猫戻る
二日目のカレーまろやか夏の昼
花石榴実らぬ恋も恋のうち
紫陽花や駅改札を出てそこに
虹かかる何かいいことありさうな
時の日の止まつたままの古時計
紫陽花の青一色といふ寺院
登山線ライトアップの濃紫陽花
又の名をあぢさゐ電車と諾へり
夏帽子被り方にも一工夫
軒先は風の通ひ路梅を干す
万緑を突つ切つてゆくケーブルカー
薫風や今日開通の圏央道
地図になき新築の庭花南天
でで虫やふと口ずさむ童唄
胎の子を抱へて潜る茅の輪かな
その先は神の領域大茅の輪
校名の変はりし母校夾竹桃
2014/7/5
▼chiharu山茶花、平成26年6月号
包まれてゆく囀りの中にあり
一週間猫の戻らず春の雨
翳しゐて日に透けてゐる桜貝
定期券期限残して卒業す
2014/6/7
▼chiharuホトトギス、平成26年6月号
犬ふぐり曾てここらは秘密基地
白梅に雲なき空の青さかな
2014/6/7