落葉亭
過去ログ55
2015/4/11 19:47
▼chiharuホトトギス、平成27年3月号
嫁ぎ来てはや三十年文化の日
体調の崩るる予感玉子酒
2015/4/11
▼chiharu2015年、2月
残業の夫に代はりて豆を撒く
豆撒の猫に被せる鬼の面
豆撒いて鳥が来てゐる朝の庭
うつむきて待雪草のはにかみて
若布干す物干し竿を占領し
大試験終へて新幹線の帰路
あとはただ見守るだけの大試験
届きたる句会の知らせ梅二月
梅を見てしかも足湯をするつもり
古木にもまだある力梅白し
朝よりも昼よりも夜の梅香る
履歴書に鶯餅の粉零る
葉牡丹の渦に光の雨雫
早春や胸に研修生の札
蕗のたう山ほど摘みて母帰る
一品は天婦羅にして蕗のたう
早春の天女現れさうな空
まだ若き人の訃報や冴返る
蓬摘む東北弁の母ふたり
ミモザ咲くいつもの道の曲がり角
強面の男が食べる桜餅
2015/4/11
▼chiharu山茶花、2015年2月号
冬薔薇の砂糖菓子めく色淡し
ポケットに手を入れる癖小六月
湯豆腐の欠かせぬ宿の朝ご飯
露天湯に浸りて掬ふ落葉かな
面談を待つ教室の寒さかな
2015/3/14
▼chiharuホトトギス、2015年2月号
虫を聞く少しぬるめの露天風呂
栗拾ひ母の長靴借りにけり
台風の予報を見つつ晩御飯
2015/3/14
▼chiharu2015年、1月
雪積もる茅葺き屋根の山門に
スカーフを開けばモネの名画かな
スカーフを繋ぎ白線流しかな
透析の父を迎へにゆく寒さ
寒くとも耐へオーロラを見るまでは
ゆりかもめ並ぶ係留ロープかな
古日記吾子の成長記録とも
日記買ふ表紙の猫が好きだから
ラガー泣く拳で涙拭ひつつ
欠伸して鴨を見てゐる橋の上
仕方なく会社に泊まる雪の夜
あるがまま生くる幸せ去年今年
初泣の頭を撫でてやりにけり
初旅の下ろし立てなるスニーカー
成人の日の予備校の授業かな
寒風に気を引き締めてゐるところ
読初す心の余白広げつつ
悲しみを希望に変へて春を待つ
苦しみを勇気に変へて春を待つ
春を待つことも学びと心得し
葉牡丹の渦に光の雨雫
蒼天に透く蝋梅の檸檬色
2015/3/14