落葉亭

過去ログ6 2013/9/6 21:19

▼chiharu
2013年、8月

銀漢の空に無限の広さかな

大陸の地平線より天の川

高原の風涼しくて星きれい

師の快癒願ふ七夕飾りかな

風に乗る火薬の匂ひ揚花火

文月や返信のまだ出来ぬまま

語り部の齢九十原爆忌

癒ゆるなき心と体原爆忌

絞りたてオレンジジュース今朝の秋

あつけなき木槿の花の別れかな

迎火や地図になかりし道しるべ

終戦の日や読み返す罪と罰

ハンモック揺られて風の子守歌

羽のない小さな天使昼寝の子

都電まで片蔭のなき大通り

波音の調晩夏のセレナーデ

採血の拳に力秋暑し

昼寝覚君が突然ゐなくなる

流暢に話すロシア語生身魂

夜濯ぎを干すオリオンを探しつつ

アルプスの水やはらかき麦茶飲む
2013/9/6

▼chiharu
山茶花、8月号より

潮騒の小さきホテル旅五月

初夏の海を見てゐるカフェテラス

この町に子供少なきこどもの日
2013/8/9

▼chiharu
ホトトギス、8月号より

混み合へる診察五分四月馬鹿

匂ひ立つ父の書斎にフリージア

ふらここや午後五時告ぐるわらべ唄
2013/8/9

▼chiharu
2013年、7月

人の恋打ちあけられしソーダ水

麦酒飲む酔はねば言へぬ話あり

誰もゐぬプラットフォーム夏の果

短夜や微分積分まだ解けず

へこみたるまま置かれゐし夏帽子

向日葵やアンダルシアの青き空

投票を済ませてよりの昼寝かな

一夜てふ月下美人の命かな

ヨット航く斜め45度の風

進みつつヨットは風を楽しめる

悩んでも疲るるばかり浮いてこい

眠る子の傍に絵本夜の秋

香水の香に整へる心かな

ただいまも言はず麦茶を流し込む

熱帯夜猫が家出をしてしまふ

鰻屋にまだ現役の黒電話
2013/8/9

▼chiharu
山茶花、7月号より

フリージア香る海辺のレストラン

求人の広告ばかり啄木忌

制服のリボンふはりと春の風
2013/7/1

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