落葉亭
過去ログ77
2016/4/28 18:12
▼chiharu平成28年、1月
ありのまま生くる幸せ去年今年
今年こそ煙草止めやうかと思ふ
大年のキスをしてゐる観覧車
乗初や渋滞となること承知
初みくじ神の言葉を持ち帰り
友と引くみな小吉の初みくじ
海沿いの観覧車より初景色
もも色の長き麩菓子を買初す
車窓より雪だんだんと深くなる
雪来るかスノータイヤに履き替へて
雪が降るLINEのトーク画面にも
まだ生きるつもり七草粥を喰ぶ
寺訪へば春七草の籠置かれ
新しき靴の固さや初稽古
先ず肩の力を抜いて初稽古
雪原の視界遮るものはなし
先ず転ぶことを覚えてスキーの子
転んでも転んでも立つスキーの子
雪つぶて兄が投げれば弟も
氷柱いま水に還つてゆくところ
残業の無き日の家路日脚伸ぶ
悩んでも疲るるばかり春を待つ
2016/4/28
▼chiharu山茶花、平成28年1月
体育の日にもゲームをしてゐる子
夕暮の埠頭を渡る秋の風
金木犀香る駅へと急ぐ道
江ノ電のカーブ軋みて秋の暮
ハロウィンの魔女の帽子のレジの人
2016/4/28
▼chiharuホトトギス、平成28年1月
八月ももう終はりかと夫の言ふ
少しづつ雨が運んで来たる秋
寄せ返す波が教へてくれる秋
2016/4/28
▼chiharu平成27年、12月
乗り損ねたるバスを待つ寒さかな
スルメ焼くストーブのある列車かな
診察のドアにもクリスマスリース
着膨れて覗く天体望遠鏡
予定表見直してゐる十二月
生きてきた証のやうな古日記
触れ合へる梟のゐる喫茶店
梟の小物集めを趣味として
駅で逢ひ駅で別れて日短
十二月八日真珠の指輪買ふ
初雪やサンタクロースより手紙
残業のビルの明かりも聖夜の灯
玩具箱みたいなクリスマスの街
高層のビルの谷間の聖樹かな
聖夜来る銀の指輪とオルゴール
合いの手の阿吽の呼吸餅を搗く
全身を粉にまみれて餅をのす
ランナーも旗降る人も息白し
息白く星空の中出勤す
古民家の青き土壁水仙花
水仙花白き灯台立つ岬
冬薔薇抱く盲目のピアニスト
花びらのやうに蜜柑をむく女
日向ぼこ暫し窓際族となる
2016/4/28
▼chiharu森 一草 厳選10句
信号を待つ交差点銀杏散る
大年のキスを回して観覧車
診察のドアにもクリスマスリース
灯台を巡らせて咲く水仙花
花びらのやうに蜜柑を剥く女
だんだんと土に還つていく落葉
目の前も紅葉川面も冬紅葉
ハロウィンの帽子でレジを打つ女
干物屋に昭和の風や扇風機
金色のピアス揺らして夏めきぬ
2016/4/24