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haru
平成31年 2月
豆撒の鬼とは人の心にも
下萌や歩き始めし吹子靴
旧正や秘技伝承の変面師
早春の土やはらかく鳥埋める
古民家の高き天井飾り凧
花ミモザ雨降り止まぬ水曜日
あの角を曲がればミモザ咲く屋敷
華やぎし表参道春めきぬ
長雨の上がりし朝の花ミモザ

haru
平成31年 山茶花2月号
体調の崩るる予感玉子酒
鯛焼の顔の笑へるごとくにも
短日の新宿駅といふ迷路
切り分けし大根一本使ひ切る
自販機のコーンポタージュ冬めきぬ

haru
平成31年 ホトトギス2月号
秋灯下辞書より探す文字ひとつ
爽やかや朝まつさらなシャツを着て
小鳥来るロッヂの窓は森へ向き

haru
平成31年 1月
面接を待つ会場のコート脱ぐ
元号の無き銀行の初暦
竹刀振る風切る音や寒稽古
雪降り積もる鉛筆の字を濃くす
初旅の故郷までの切符買ふ
継続は力となりぬ初日記
出勤やつけまつげしてマスクして
ふるさとの雪の匂ひの林檎かな
雪掻のシャベル売り切れたる都心
葉牡丹のプランター置く駐在所

chiharu
平成31年 山茶花1月号
秋灯や辞書より探す文字ひとつ
紅葉撮る人と野鳥を撮る人と
小鳥来る風の謳つてゐるベンチ
コスモスの風に抗ふこともなし
歓声を乗せて豆汽車秋桜
母の手の林檎うさぎとなりにけり

chiharu
平成31年 ホトトギス1月号
爽やかに愛告げる日のチャペルかな
小鳥来て午後の紅茶にしませうか
虫の音に包まれてゐる無人駅

chiharu
平成30年 花鳥諷詠11月号
安原 葉選
民宿の窓に夜干しの水着かな