26651Hit.

chiharu
平成30年 山茶花10月号
髪洗ふ心の張りを取り戻し
向日葵の背丈羨ましく思ふ
白南風や海を見てゐる風見鶏
切口の角の鋭き水羊羹
民宿の窓に夜干しの水着かな
帰省子のよく寝よく食べよく笑ふ
文庫本ほどの軽さの日傘買ふ

chiharu
平成30年 10月号
こどもの日オムライスには旗立てて
約束の人待つテラス風涼し
薔薇抱いてカーテンコール鳴り止まず

chiharu
平成30年 9月
赤蜻蛉子を肩車して帰る
小鳥来るいつもの東屋のベンチ
立ち漕ぎて赤蜻蛉の空がある
落款の位置を確かめ秋灯下
ゑのころや記憶に棲みし猫のゐて
秋天やビルに緊急ヘリポート
古本に残る傍線秋灯下
天と地を繋ぐ道程曼珠沙華
敬老の日のオカリナのコンサート
鶏頭を活け子規のこと虚子のこと
鶏頭を活け論争の今昔
コスモスの揺れゐて風の悪戯に
虫の音に包まれてゐる無人駅
白萩や地蔵菩薩の傍らに
本堂に続く石段萩こぼる
月の夜の石塀小路歩きけり
雨降つて秋薔薇息を吹き返す
台風を案じるメール友より来
秋灯下辞書より探す文字ひとつ
木洩れ日を歩す鈴なりの葡萄園
雑草といふ草はなし草の花
歓声を乗せて豆汽車秋桜
流星や窓辺に運ぶ椅子ひとつ

chiharu
平成30年 花鳥諷詠9月号
安原 葉選
薔薇抱いてカーテンコール鳴り止まず

chiharu
平成30年 山茶花9月号
雨降つてこその紫陽花見に行かむ
父の日の父ジーンズを穿きこなし
明易し眠ることにも力要り
庭に咲くグラジオラスを供花に切る
エプロンのポケットあまた草刈女
草を刈るナイキのタオル首に巻き

chiharu
平成30年 ホトトギス9月号
遠足のパンダ見てゐて見られゐて
透きとほる声の讃美歌聖五月
すやすやと子猫も夢を見るやうな

chiharu
平成30年 8月
盆用意掛曼荼羅の巻緒解く
盆用意姑の言ひなりとはならず
黙といふ抗議八月十五日
雨上がる花火大会待つ街に
旅の夜の締めの線香花火かな
黒髪に戻して吾子の休暇果つ