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chiharu
平成30年 3月
春夕焼追ひかけ都庁まで歩く
囀りや森の扉を開け放ち
雛飾る母となれたること嬉し
春の月ワイングラスの向ふ側
春雨や君と暮らした三十年

chiharu
平成30年 山茶花3月号
早咲きの梅一輪といふ気品
駅ビルの聖樹に人を待ちにけり
診察のドアにもクリスマスリース
(若草集巻頭)
山茶花や泣き出しさうな空仰ぎ
駅で会ひ駅で別れて日短
うたた寝の猫と毛布を分かち合ふ
(瞳々集)
まつ白なファー柔らかな冬帽子

chiharu
平成30年 ホトトギス3月号
焚火するにも消防署まで電話
セーターの黒一枚は欲しき色
鮟鱇鍋母の手作り味噌届く

chiharu
平成30年 2月
大試験てふ人生の岐路に立つ
淡雪や町に無人の測候所
米寿なる父にもバレンタインチョコ
バレリーナめく赤い靴春兆す
波しぶき被り海苔掻く男かな
水菜畑富士の湧水命とし
早春の星となりたる師を偲ぶ
師の星を一つ加へて春銀河
水菜畑富士の湧水命とし
春寒や刻の止まりし掛け時計
春の風邪家事に休みの無かりけり
油断せしまたぶり返す春の風邪
春の風邪ドロップ一缶舐め尽くす
春の風邪眠くなくとも出る欠伸
恋猫の恋とは事故のやうなもの

chiharu
平成30年 山茶花2月号
セーターの黒一枚は欲しき色
休みつつ上る石段坂紅葉
一日にひとつと決めて蜜柑喰ぶ
法螺の音の響く境内冬紅葉