22529Hit.
haru
令和4年 山茶花 3月号
レシートのふくらむ財布十二月
冬ぬくし散歩もリハビリの一つ
銀杏散る風の光となりにけり
自走する警備ロボット十二月
haru
令和4年 山茶花2月号
猫亡きあとのリビングの寒さかな
寄鍋や日に一組の隠れ宿
どうしても作りすぎたるおでんかな
日溜りへ蟹さぼてんの鉢運ぶ
haru
令和4年 2月 雑詠
花苗を選ぶ店先春隣
チョコの数競ひしバレンタインの日
伊勢参り叶ふ建国記念の日
パソコンのデータ消失冴返る
ばつさりと髪を切る春寒くとも
白木蓮飛び立つ鳥の形して
デニムシャツ着て立春の庭仕事
鉢植のラベル貼り替へクロッカス
冴返るこの日本の未来かな
haru
令和4年 山茶花1月号
仮装より目立つ警察ハロウィーン
月仰ぎ釣糸垂らす防波堤
夫の忌の金木犀の花盛り
揚羽来る歩道の小さき水溜まり
haru
令和4年 1月 雑詠
悴みてゐしオカリナの指使ひ
雪の朝チャイにシナモンたつぷりと
初詣みくじ小槌は白と決め
参詣や仕立ておろしのオーバー着て
大寒やUber Eats走る街
寒晴やスカイツリーの見えし杜
寒晴や十国峠よりタワー
初旅の臨時列車の指定席
まだ続く時短営業春を待つ
和菓子屋の品変はりたる春隣
冴ゆる夜の路地裏通りピアノバー
雪ちらと法要の日の納骨堂
haru
令和3年 山茶花12月号
秋晴やお宮参りの子を抱き
カーナビにまだなきホテル小鳥来る
高々と蜻蛉飛び交ふ夕まぐれ
リビングの明かりを消して月を待つ
月を待つ間に二杯目の赤ワイン
haru
令和3年 12月 雑詠
日溜まりに蟹さぼてんの鉢運ぶ
潤目焼く伊豆の地酒の添へてあり
釣つてすぐ潤目を捌く指の腹
ちり鍋や日に一組の隠れ宿
眠さうな猫が足踏みする布団
猫通る襖を少し開けておく
おでん鍋一人に一つずつ玉子
安息の湖白鳥は羽休め
猫亡きあとのリビングの寒さかな
どうしても作りすぎたるおでん鍋かな
自走する警備ロボット十二月
クリスマス姑とケーキを食べにけり
銭湯のイベントの日の柚子湯かな
レシートの膨らむ財布十二月
賃餅の搗き始めたる午前二時