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haru
令和3年 山茶花11月号
寝返りのできたる嬰に甚平着せ
虹立つてまだ濡れてゐる滑走路
haru
令和3年 10月、11月雑詠
秋風や露天風呂より海見えて
離乳食始まりし子に林檎擦り
秋風に吹かれし路線バスの旅
紅葉して旅に彩り添へにけり
冬温し交はす言葉の端々に
仮装より目立つ警察ハロウィーン
鰐の子を抱かせて貰ふ旅小春
旅小春あくまで蒼き伊豆の海
立冬や泡の弾ける入浴剤
紅葉散る橋の袂に虚子の句碑
宅配の不在通知や神の留守
音程の低きオカリナ冬に入る
入浴剤入れて勤労感謝の日
初冬やタルトタタンの焼きあがる
銀杏散る風は光となりにけり
銀杏散る大地に降り注ぐ光
冬温し散歩もリハビリの一つ
haru
令和3年 山茶花10月号
揚羽来る歩道の小さき水溜り
近さうで遠きバス停炎天下
毎朝の日課の庭の草むしり
太陽に愛されてゐるトマトかな
haru
令和3年 山茶花9月号
軍事基地囲めるフェンス夾竹桃
市役所の壁一面の蔦青葉
球場に響く快音梅雨晴間
紫陽花の名所と呼べる寺多く
haru
令和3年 9月雑詠
亡き夫の経木を流す水澄めり
小鳥来てゐる手作りのバードバス
月付いて来る銭湯の帰り道
秋晴やお宮参りの子を抱き
リビングの明かりを消して月を待つ
月を待つ間に二杯目の赤ワイン
カーナビにまだ無きホテル小鳥来る
高々と蜻蛉飛び交ふ夕まぐれ
夫の忌の金木犀の花盛り
名月や窓辺に運ぶ椅子二つ
名月や釣糸垂らす防波堤
木犀の香りし風の宅配便
黒板にワインのリスト秋灯し
haru
令和3年 山茶花8月号
真白なるカーネーションを供花に挿す
入籍を済ませ憲法記念の日
神棚に貼る命名書子どもの日
迷ひなく白を選びて夏帽子
海亀の甲羅測りし飼育員
haru
令和3年 7月、8月雑詠
太陽の味のトマトを齧りけり
寺涼し陰翳深き如来像
看板を下ろすクレーン炎天下
夕暮の海を見てゐるソーダ水
歓声の響く球場夾竹桃
軍事基地囲みしフェンス夾竹桃
近さうで遠きバス停炎天下
揚羽来る歩道に小さき水溜り
手のひらで卓球台の汗拭ふ
炎天下スーツ着こなしサラリーマン
海辺まで歩いて二分避暑ホテル
鍬形や飼育ゼリーの赤青黄
ワクチンの接種会場秋暑し
蜩や洗濯物を畳みつつ