落葉亭


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令和3年 山茶花2月号

婦人誌の付録のレシピ大根煮る

コーヒーにミルクたつぷり冬に入る

デリバリーランチ勤労感謝の日
 
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令和3年 1月雑詠

初乗の出勤となる駅ホーム

冬晴や海の向こうの観覧車

葉牡丹を主役としたる仏花買ふ

中華街市場通りの雪だるま

雪掻の前の体操欠かされず

オカリナにそつと指乗せ初稽古

黒髪を一つに束ね弓始

早梅や車で潜る大鳥居

卓球の肘の直角初稽古

寒晴の山の稜線見渡せり

膝毛布海を見てゐるテラス席

湯煎バター溶けゆくやうに日脚伸ぶ
 
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令和2年 山茶花12月号

墓洗ふまだ日当たらぬ朝のうち

蝉の殻転がつてゐる父の墓

鎮魂のピアノ八月十五日

ランチとる都心の森の蟬時雨
 
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令和2年 11,12月 雑詠

デリバリーランチ勤労感謝の日

山茶花の咲いて彩り添へし庭

駅前の街頭募金十二月

ストーブの前が定位置猫眠る

十二月電子マネーを使ひ切り

流感や母は入れぬ男子寮

聖夜来るフライドチキン予約して

クリスマスドラマのやうな恋をして

着膨れて炊き出しボランティアの人

寒空の下街角の靴磨き

やうやつと欄間の障子貼りにけり

古日記夫の闘病記録とも

煮凝りの煮汁何度も継ぎ足して

前向きに生くると決めて去年今年

シャッターに閉店案内十二月

アフリカの大地で育ち冬の薔薇

2階まで雪の積もつてゐる生家

泣きながら蒲団を頭まで被る

烏瓜夕暮れ空のやうな色
 
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令和2年 花鳥諷詠10月号

稲畑廣太郎 選

咲ききつて水の膨らむ水中花
 
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令和2年 山茶花10月号 

曳山車のすれ違ふには狭き路地

天気予報見てはため息梅雨長し

汗拭ふ二段ベッドを組み立てて

ラーメンと同じ値段のかき氷

心中の無になれるまで海月見て
 
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令和2年 10月 雑詠

告別の日の秋晴となりしかな

納骨を終へ秋の蚊に刺されけり

落葉掃く墓誌に父の名夫の名

値札付く夫のパジャマ冬に入る

なほ続く面会禁止冬に入る

本堂の裏の石段落葉踏む

白菊や遺影の夫と見つめ合ふ

うそ寒やまだ温もりのある体

柿届く発送人は亡夫の名

古本に銀杏黄葉の挟まれて
 
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