落葉亭


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令和1年 8月

曼陀羅は家宝のひとつ盆用意

宅配で旅荷の届く子の帰省

かなかなや木立の中の芭蕉句碑

八月や祈ることしか出来なくて

花火の夜駅に臨時のバスが着く

八月の目を閉ぢて聴くレクイエム

退職の花束を下げ花火の夜

イグアナを描く八月十五日

カフェラテの泡やはらかき涼新た
 
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令和1年 山茶花8月号

父母の遺せし薔薇のまくれなゐ

定年の夫のスーツ更衣

駅前に床屋たばこ屋夏燕

湯の宿の廻る回廊竹落葉
 
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令和1年 7月

ソーダ水波音聴いてゐるテラス

ボクシング飛び散る汗と血のリング

市議会の色とりどりのアロハシャツ

草刈や人住まふこと無き生家

草刈にボーイスカウト集ひけり

検診の結果良好ビール酌む

ソーダ水夢みる頃の海の色

海の日の旗立ててゐる氷川丸

夜の秋溜まりしメール削除して

夕立や土の匂へる野球場

雑魚寝してクーラーの無き体育館

日盛や看板下ろすクレーン車

炎天やブラスバンドの野球帽

松葉牡丹今やポーチュラカの花壇

アスファルト匂ひし都心夕立後

新婚の夜のホテルのプールかな
 
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令和1年 山茶花7月号

初虹や歩道橋より海見えて

やはらかな朝日の中のさくらかな

桜貝さらふレースのやうな波

歩きたき坂を歩きて花の昼
 
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令和1年 6月

あぢさゐに音符のやうな雨雫

六月の海に眠つてゐる真珠

草笛の心そのまま音となり

怪談のからくり模型館涼し

レンズ越し光と影と紫陽花と

道野辺のあじさゐ雨をためらはず

オカリナに涼風の音森の音

さくらんぼ外して食べるプリンかな

梅雨籠悩ましきこて二つ三つ

どくだみの匂ふ空家の又一つ

十薬の花十字架の形して

五月雨や男と歩く歌舞伎町

梅雨寒やゆつくり溶かす舌下錠

サルビアや古きギターのアルペジオ

日の匂ひ包みしタオル梅雨晴間
 
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令和1年 山茶花6月号

窓叩く雨に朝寝の覚めにけり

花ミモザまだ来ぬ人を待つ紅茶

長雨の上がりし朝の花ミモザ
 
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令和1年 山茶花6月号
私の好きな句より

中原雅美 選

伐採の傷そのままに山眠る
 
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