過去ログ30 2006/3/10 4:56

#志筑あおい
【右手の約束】
どこまでも眩いこの時間を
また過ごせるなんて
疑いもしないで

何気なく通り過ぎるなんてしないで
もっともっと
愛おしいと思うなら
ずっとずっと
その胸にとどめて

たった今 それしかないかもしれないのだから


ためらうくちびる
空気を波立たせるのが怖くて
そっと塞いだ

願いをこめて強く握る
この手のひらからすべて伝わればいい

大事なことほど口に出来ない
臆病な背中 無口な笑顔
いつか届くなんて
そんなのは嘘


どこまでも愛しいあなたの左手が
ずっとそこにあるなんて
信じてはいけないの

さりげなく離したりなんてしないで
もっともっと
触れていたいから
そっとそっと
優しい力をこめて

たった今 すべて消えてしまうかもしれないのだから


静けさを震わせて
そっとささやこう
あなたの耳元へ
美しい流れになんてならなくていいから
きれぎれの言葉でも

ためらいを流して
きっと近づこう
あなた あなたへと
いつからかうつむいていた
そんな背中を
そっと押して
2006/3/10 4:56
HP

#ray
他愛 も
ほら
この節穴の睫毛から見えにくい世界が転がってる


指輪のフ゜ラスチックを
透明な気圧で逆撫でしてる


暗転コ゛ッコで他愛もなく抱き合おう
他愛もなく触って欲しい
崩して崩して
よくある豪語なんか


透明度
安堵感
室温
体温
会話
存在


全てが他愛もなく
進行してく
全てが他愛もない


全てが愛しくて
たまらない
2006/3/1 13:46
HP

#時雨
今日もまた
私はきっと
塔に閉じ込められた
ラプンツェルの様に
王子様の事を
待っているだけ


あの人の触れた髪を
未だに切れず
また触れてもらうのを
待ってるのかも
知れない


誓った愛に背を向けて
一人、星を探す

こんな夜が続くの?
もう離れてしまうの?


本当は
ラプンツェルよりも
人魚姫よりも


シンデレラになりたい


ガラスの靴を履いて
王子様と
手と手を取って
軽やかに
ふわふわと
ステップを踏んで

鐘が鳴っても
魔法が解けても


私を愛してくれる


私達はきっと

鐘が鳴って
魔法が解けたら


きっとおしまいね
[site]
sugar...
2006/2/26 22:40
HP

#イヴ
夜明け
 
サムサラの風だ
燃えあがる白濁の渦だ
ヒシャクで掬う六番目のゆび
小さな星の銀縁に
休息の許しが降りて
自由になる気泡

祝福の沸点は
おおらかに
安らかに、
おだやかに
いびつに
飽和され
海洋を渡る、
その限りない紺碧の貞操を突き抜けて
巡り逢えるただひとつのうた

そういうもので交じり合いたい
億万色の音色を奏でたい
美しくなんてなくていい

蝶を眠らせた既視感で地を震わせよ
石膏で塗り固めたあの防波堤をなぎ倒しておくれ、
大洪水を巻き起こせ
満ちたりない満ちたりないと泣け

それから
わたしたちは
鮮やかなグリーンをした
みずみずしいハーブを口にくわえる、
そうして高揚とする

開かれた高揚、
ひとかどの煩悶や歓喜や快楽、悪しき感情の点描画
飽きたらずどこまでも
無知という悪戯な好奇心に
身を委ねるままに

潮騒が泡を立てはじめ
ゆりかもめの金切り声が
轟々と喚いたらサンシャイン、
暴発してゆく狂想曲だ
新しい手でリズムを取りなさい
びっこを引いたベクトルで
オルガズムが足りない!
オルガズムが足りない!
オルガズムが足りない!と言いながら
前衛的な譜面を綴るなら幸福

すべてに新しい血が巡るだろう

 
2006/2/26 13:44
HP

#時雨
いつの間にか
耳障りな音
目移りする映像

重い瞼を擦り
目を覚ます

彼はまた画面に夢中だ

隣に横たわる
頬を寄せて
腕を回して


彼を見つめる


時を止めて
まるで子猫の様に
甘えてみせる

はにかむ様に微笑む
私と貴方

もっと髪を撫でて
肌に触れて

今夜も貴方が愛しい事に
変わりは無い


こんなにも愛しい


貴方の隣で


幸せが溢れ出す
2006/2/24 2:45