落葉亭
過去ログ133
2022/5/4 14:38
▼haru令和4年 1月 雑詠
悴みてゐしオカリナの指使ひ
雪の朝チャイにシナモンたつぷりと
初詣みくじ小槌は白と決め
参詣や仕立ておろしのオーバー着て
大寒やUber Eats走る街
寒晴やスカイツリーの見えし杜
寒晴や十国峠よりタワー
初旅の臨時列車の指定席
まだ続く時短営業春を待つ
和菓子屋の品変はりたる春隣
冴ゆる夜の路地裏通りピアノバー
雪ちらと法要の日の納骨堂
▼haru令和3年 山茶花12月号
秋晴やお宮参りの子を抱き
カーナビにまだなきホテル小鳥来る
高々と蜻蛉飛び交ふ夕まぐれ
リビングの明かりを消して月を待つ
月を待つ間に二杯目の赤ワイン
▼haru令和3年 12月 雑詠
日溜まりに蟹さぼてんの鉢運ぶ
潤目焼く伊豆の地酒の添へてあり
釣つてすぐ潤目を捌く指の腹
ちり鍋や日に一組の隠れ宿
眠さうな猫が足踏みする布団
猫通る襖を少し開けておく
おでん鍋一人に一つずつ玉子
安息の湖白鳥は羽休め
猫亡きあとのリビングの寒さかな
どうしても作りすぎたるおでん鍋かな
自走する警備ロボット十二月
クリスマス姑とケーキを食べにけり
銭湯のイベントの日の柚子湯かな
レシートの膨らむ財布十二月
賃餅の搗き始めたる午前二時
▼haru令和3年 山茶花11月号
寝返りのできたる嬰に甚平着せ
虹立つてまだ濡れてゐる滑走路
▼haru令和3年 10月、11月雑詠
秋風や露天風呂より海見えて
離乳食始まりし子に林檎擦り
秋風に吹かれし路線バスの旅
紅葉して旅に彩り添へにけり
冬温し交はす言葉の端々に
仮装より目立つ警察ハロウィーン
鰐の子を抱かせて貰ふ旅小春
旅小春あくまで蒼き伊豆の海
立冬や泡の弾ける入浴剤
紅葉散る橋の袂に虚子の句碑
宅配の不在通知や神の留守
音程の低きオカリナ冬に入る
入浴剤入れて勤労感謝の日
初冬やタルトタタンの焼きあがる
銀杏散る風は光となりにけり
銀杏散る大地に降り注ぐ光
冬温し散歩もリハビリの一つ