落葉亭

過去ログ107 2018/8/4 20:09

▼chiharu
平成30年 ホトトギス5月号

初暦子の婚礼の日を印す

うたた寝の猫と毛布を分かち合ふ

春を待つ失ふものの何もなく

水色の夫のセーター借りにけり
2018/8/4

▼chiharu
平成30年 4月

春風や少年にある志

春灯やボサノヴァ流すワインバー

春灯下シェイカーを振るバーテンダー

もも色の人魚の泪桜貝

手のひらに包むオカリナ春の風

童心に戻る眸に石鹸玉

巴里の朝クロワッサンとネーブルと

春愁やかつぱえびせん止まらない

燕来るシャッター下りし店ばかり

用もあり都庁の桜見ることも

惜春や魔物棲みたる甲子園

春愁やつかねばならぬ嘘一つ

イースター白き帽子の花飾り

退勤の夫を待つ間の花の下

退職の日の風船のブーケかな

通販の架空請求四月馬鹿

雨音に包まれてゐる朝寝かな

すやすやと子猫も夢をみるやうな

ほらそこに妖精のゐるチューリップ

チューリップおはやう先生おはやう

透き通る声の讃美歌イースター

遠足のパンダ見てゐて見られゐて

押入に眠るファミコン昭和の日
2018/8/4

▼chiharu
平成30年 山茶花4月号

悴みて始発電車を待ちにきり

原点に戻りしこころ初蛍光灯

病さへ力に変へて春を待つ

積雪の見知らぬ町にゐる如く


2018/8/4

▼chiharu
平成30年 ホトトギス4月号

早咲きの梅一輪といふ気品

定番の黒を選びて冬帽子

つい肩に力の入る寒さかな
2018/8/4

▼chiharu
平成30年 3月

春夕焼追ひかけ都庁まで歩く

囀りや森の扉を開け放ち

雛飾る母となれたること嬉し

春の月ワイングラスの向ふ側

春雨や君と暮らした三十年
2018/4/11

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