落葉亭

過去ログ109 2019/1/6 14:15

▼chiharu
平成30年 ホトトギス8月号

春愁やつかねばならぬ嘘一つ

いち早く咲いて窓辺のチューリップ

囀や森の扉を開け放ち
2019/1/6

▼chiharu
平成30年 7月

髪洗ふ心の張りを取り戻し

麦酒飲む女にもある喉仏

桃を剥くネイルアートの星条旗

島唄のこぶし効かせて花でいご

エプロンのポケットあまた草刈女

草刈やスポーツタオル首に巻き

切口の角の鋭き水羊羹

夏草やオウム慰霊碑残る村

雲間より晩夏の海に降る日差し

自由なる海月のやうに生きたくて

ステテコの父の写真のセピア色

ステテコや卓袱台に置く一升瓶

ステテコの父の胡座の中に猫

寄せ返す波たゆたふてゐる海月

旗立ててゐる海の日の氷川丸

夕焼や子ども少なき漁師町

逞しくなつて戻る子夏休

炎天や原子爆弾投下の地

民宿の窓に夜干しの水着かな

木造の駅と校舎と莢竹桃

泡盛やさつと出てくる海葡萄

髪洗ふ今日も明日も明後日も

湖涼し水のカムイに出逢ふ旅

束の間の旅湘南のかき氷

新婚の夜のカトレアの咲くプール

海側の部屋に連泊避暑ホテル

留守番の猫にクーラーつけ放し

炎天にドクターヘリの出動す

プルメリア浮かぶプールとカクテルと

涼しげな猫の目に吸ひ込まれさう

全身に糸瓜の水をたつぷりと

夜濯ぎやひとりでに点く蛍光灯

汗光る心ひとつとなる球児
2019/1/6

▼chiharu
平成30年 山茶花7月号

春愁やつかねばならぬ嘘一つ

春愁や犬も喰はない喧嘩して

春灯やボサノヴァ流すワインバー

雨音に包まれてゐる朝寝かな

欠伸して各駅停車待つ日永
2018/8/5

▼chiharu
平成30年 ホトトギス7月号

喧嘩して泣いて笑つて卒業す

歩きつつ摘みし蕨の一握り

囀や森の扉を開け放ち

包まれてゆく囀の中に在り
2018/8/5

▼chiharu
平成30年 6月

明易や眠ることにも力要る

五月雨や写真の裏の覚へ書き

梅雨籠本積まれたる枕元

約束の人待つテラス風涼し

海霧深し海抜ゼロの町釧路

館涼し煌めき宿るシャンデリア

雨降つてこその紫陽花見に行かう

片恋といふ恋もありさくらんぼ

あぢさゐの寺に西門東門

父の日の父ジーンズを穿きこなし

夏至の日の駅のホームに人溢れ

餌くれしばかり目高をまた覗く
2018/8/4

110108

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