落葉亭
過去ログ118
2020/3/13 14:44
▼haru令和1年 12月号
単線に待ち時間あり日短か
留守番の夫におでんを作り置く
生きてゐる証のやうな寒さかな
短日の電車遅延のアナウンス
聖樹はやホテルのエントランスにも
漆黒の闇の深さや冬銀河
十二月八日を知らぬ人の増へ
ゴスペルのカーテンコール十二月
潮騒の届きし駅舎花アロエ
レッスンの第九の響く十二月
イブの夜の交差点よりタワーの灯り
聖夜来る宝石箱のやうや街
病棟の隅にもクリスマスツリー
逆さまの広告吊るす暖房車
救急車みな出払つてゐる師走
風邪の子に届く給食コッペパン
ポケットに隠せし両手息白し
2020/3/13
▼haru令和1年 山茶花11月号
宅配で旅の荷届く帰省かな
民宿の窓に夜干しの水着かな
八月や祈ることしかできなくて
曼陀羅も家宝の一つ盆用意
揚花火駅に臨時のバスが来る
2020/3/13
▼haru令和1年 11月
店仕舞ひして店前の落葉掃く
小春日やベンチの下の猫二匹
小春日の猫の寝てゐる駐車場
午後からは休診の札うそ寒し
古民家の窓は額縁冬紅葉
袴着の足元軽きスニーカー
紅葉且つ散る男坂女坂
叩いても直らぬテレビ文化の日
海小春フェリーの後を鴎追う
一駅を歩いて帰る冬温し
冬温し撫でれば喉を鳴らす猫
2020/3/13
▼haru令和1年 山茶花10月号
日の匂ひ包みしタオル梅雨晴間
市議会の色とりどりのアロハシャツ
検診の結果良好ビール酌む
梅雨寒やゆつくり溶かす舌下錠
民宿の窓に夜干しの水着かな
汗光る心ひとつとなる球児
2020/3/13
▼haru令和1年 10月
童心に戻り団栗拾ひけり
団栗や鎮守の森の息遣ひ
ドライブす鹿の横切る戸田峠
人を待つ銀杏並木のカフェテラス
紅葉燃ゆケーブルカーに人の列
ここからが金木犀の香の範囲
和菓子屋の暖簾下ろして秋の暮
結納の膳の松茸づくしかな
ロケ隊の来てゐる銀杏並木かな
ふるさとの魚沼産の今年米
紅葉寺国宝仏を見て過ごす
蜜柑剥く再放送の時代劇
鹿を見てゐる湿原の静寂かな
2020/3/13