落葉亭

過去ログ2 2013/3/7 10:54

▼chiharu
2013年 2月、3月

鬼は外我が心にも鬼は棲み

春きざす色とりどりのスニーカー

クロッカス咲かせて授業参観日

犬ふぐり曾てここらは秘密基地

瞬きの睫毛に消ゆる春の雪

旅終へて雪の別れを重ねつつ

囀りや森に扉のある如し

最終の列車見送り春朧
2013/3/7

▼chiharu
2013年熱海市民文芸コンクール
「人位」

毛糸編む又胎動を感じつつ
2013/2/7

▼chiharu
2013年1月

働けることの幸せ去年今年

初旅の始発電車を待ちながら

箱根路を駆けるランナーの息白し

冬の雨だんだん曇る硝子窓

阪神派巨人派のゐて雪合戦

豪雪の越後川口田麦山

降り積もる都心の雪に戸惑へり

紫のもつとも淡し冬菫

水仙の俯きながら咲きにけり

もしかして蜜柑食べ過ぎかも知れず

たつたいま氷柱光となるところ

旅終へてそれぞれの帰路寒の月

寒玉子割るも真剣勝負なる

春を待つ色とりどりのランドセル

春隣小さき旅を約束し
2013/2/6

▼chiharu
2012年 ( 4 )

冬霧の真白き闇の中に入る

冬夕焼もう誰もゐぬ競技場

木の葉髪恋に齢のなけれども

毛糸編む又胎動を感じつつ

マフラーの手編みと判る編み目かな

ショール巻くにも拘りのあるらしく

束の間の逢瀬となりぬ日短

欲しいのは冬薔薇一輪ほどの愛

冬林檎てふ真心を贈らるる

花枇杷の咲いて控へ目てふ言葉

煤掃や昭和の匂ふ和菓子店

冬帽子被りキエフの門に佇つ

届きたる吾子の街にも雪便り

窓際のいつもの席の聖樹かな

ティファニーに人の賑はふ聖夜前

クリスマスカードを選ぶ女の子

クリスマスイルミネーションてふ魔法

クツキーを入れて切れよと聖菓かな

トナカイの柄のセーター買ひに出づ

ルーベンスの絵画に見入る冬の午後
2013/1/12

▼chiharu
2012年 ( 3 )

訳ありの青森産の林檎かな

赤い羽根つけて東京丸の内

もう来ない予感落葉を踏みし音

ハミングを口ずさみつつ落葉掃く

秋冷や胸にちくりと注射針

別るるも出逢ふもご縁秋の雲

月の夜の石塀小路を歩こうか

濡れし服乾かすことも時雨宿

色褪せしアルバム開く秋夜長

白よりも紫が好き野菊咲く

また別のバス来る紅葉祭かな

高尾へと十一月の予定書く

空つぽのわたしの財布神の留守

缶蹴の缶残されて暮早し

会へば又話の尽きず十夜かな

散りてなほ意志ある如く落葉舞ふ

ゆふぐれの色の落葉を拾ひけり

もう少し歩いてゐたく落葉踏む

悔しくて悔しくて踏む落葉かな

朝寒や始発駅まで子を送り
2013/1/12

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