落葉亭

過去ログ63 2015/9/17 16:04

▼chiharu
花鳥諷詠、平成27年8月号

三津五郎亡き歌舞伎座の春惜しむ
2015/9/17

▼chiharu
山茶花、平成27年8月号

栗の花どこかで匂ふ気配あり

慎重に渡る吊橋谷若葉

貝殻のピアス揺らして夏めきぬ

衣更してボーダーのシャツばかり

ボーダーのシャツとジーンズ夏来る
2015/9/17

▼chiharu
ホトトギス、平成27年8月号

春昼や海軍カレー注文す

おほかたの家にパンジー咲きし路地
2015/9/17

▼chiharu
2015年、7月

食べられる花の入つてゐるゼリー

ラベンダー北の大地といふ旅路

太陽は日々に新しダリア咲く

恋人にひと口貰ふシャーベット

キスをしてゐる噴水の向ふ側

麦酒飲む浅草一の一の一

麦酒飲むたこ焼をまた追加して

麦酒飲む吾子の手作り餃子かな

授乳せし吾子の額の汗拭ふ

家族みな違ふシャンプー髪洗ふ

君が手の撫でて貰ひし髪洗ふ

夏ホテルどの部屋からも海見えて

オレンジの水着が似合ふ十七歳

いつまでも眺めてゐたき夕焼かな

夕焼の静かに暮れてゆきし海

はいと言ふ「鰻好きですか」と聞かれ

献立に迷ふことなき鰻の日

山登り赤いバンダナ首に巻き

太陽にこんなに愛されてトマト

浴衣着て同窓会に来るをんな

夏シャツの裾で眼鏡を拭くをとこ

干物屋に昭和の匂ふ扇風機

沖縄の一足早き海開き

打ち寄せる波に素足を洗はせて

綿菓子の絵柄を選ぶ夜店かな

炎昼やお化け屋敷に入る覚悟

風死して炎暑もの憂ひばかりなり

西日さす煉瓦倉庫の格子窓

日盛りを歩いて煉瓦倉庫まで

旅先で買ふひと夏の麦藁帽

計画の二転三転夏休

夏の雲映る高層ビルの窓

ベランダに干さるるシーツ夏の雲

苦手なる百足の夢に目を覚ます

スパイスを効かせしカレー暑気払ふ

炎天にかつ飛ばしたるホームラン

玉虫の光残せし骸かな

仏壇にあなたが好きだつたゼリー

掲げたる校旗の重み炎天下

ベランダの風鈴をもう仕舞はねば
2015/9/17

▼chiharu
山茶花、平成27年9月号

入梅やカラフルな傘欲しくなり

厨から母の歌声茄子の花

蜘蛛の糸髭に貼りつけ猫戻る

薫風や天守閣より海見えて

下駄箱の上の電話と水中花
2015/9/14

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