落葉亭

過去ログ75 2016/3/24 19:21

▼chiharu
平成28年、1月

ありのまま生くる幸せ去年今年

今年こそ煙草止めやうかと思ふ

大年のキスをしてゐる観覧車

乗初や渋滞となること承知

初みくじ神の言葉を持ち帰り

海沿いの観覧車より初景色

もも色の長き麩菓子を買初す

車窓より雪だんだんと深くなる

雪来るかスノータイヤに履き替へて

雪が降るLINEのトーク画面にも

まだ生きるつもり七草粥を喰ぶ

寺訪へば春七草の籠置かれ

新しき靴の固さや初稽古

先ず肩の力を抜いて初稽古

雪原の視界遮るものはなし

先ず転ぶことを覚えてスキーの子

転んでも転んでも立つスキーの子

雪つぶて兄が投げれば弟も

氷柱いま水に還つてゆくところ

残業の無き日の家路日脚伸ぶ

悩んでも疲るるばかり春を待つ
2016/3/24

▼chiharu
山茶花、平成28年1月

体育の日にもゲームをしてゐる子

夕暮の埠頭を渡る秋の風

金木犀香る駅へと急ぐ道

江ノ電のカーブ軋みて秋の暮

ハロウィンの魔女の帽子のレジの人
2016/3/24

▼chiharu
ホトトギス、平成28年1月

八月ももう終はりかと夫の言ふ

少しづつ雨が運んで来たる秋

寄せ返す波が教へてくれる秋
2016/3/24

▼chiharu
平成27年、12月

乗り損ねたるバスを待つ寒さかな

スルメ焼くストーブのある列車かな

診察のドアにもクリスマスリース

着膨れて覗く天体望遠鏡

予定表見直してゐる十二月

生きてきた証のやうな古日記

触れ合へる梟のゐる喫茶店

梟の小物集めを趣味として

駅で逢ひ駅で別れて日短

十二月八日真珠の指輪買ふ

初雪やサンタクロースより手紙

残業のビルの明かりも聖夜の灯

玩具箱みたいなクリスマスの街

高層のビルの谷間の聖樹かな

聖夜来る銀の指輪とオルゴール

合いの手の阿吽の呼吸餅を搗く

全身を粉にまみれて餅をのす

ランナーも旗降る人も息白し

息白く星空の中出勤す

古民家の青き土壁水仙花

水仙花白き灯台立つ岬

冬薔薇抱く盲目のピアニスト

花びらのやうに蜜柑をむく女
2016/3/24

▼chiharu
山茶花、平成28年2月号

街角のイルミネーション冬来る

冬ぬくし仔犬三匹生まれたる

蜜柑むくマイナンバーの話など

信号を待つ交差点銀杏散る

落葉掃き法要の日の父の墓
2016/3/24

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