落葉亭

過去ログ85 2016/7/9 14:26

▼chiharu
ホトトギス、平成28年七月号

あたたかや本を抱へて公園へ

青ぬたや買ひ漏らしたる味噌買ひに

卒業の子の制服の寄付をして
2016/7/9

▼chiharu
平成28年、6月号

庭に咲くグラジオラスを供花に切る

異国より戻りてよりの梅雨入かな

夏霧の峠運転せしことも

青葉濃き京都は雨の似合ふ町

梅雨晴間電車に傘の忘れ物

最後に食べるババロアのさくらんぼ

紫陽花や夕暮といふ空の色

群青に変はるむらさき濃あぢさゐ

ユニフォーム乾かしてゐる梅雨晴間

カフェラテを片手に散歩青葉風

わが夫の腕に止まりし蚊を叩く

鎌倉に尼寺ひとつ濃あぢさゐ

鎌倉といふブランドも夏野菜

あぢさゐの花を愛する会の人

虹かかる飽くまで青き水平線

梅雨籠りサイト閲覧ばかりして

時の日の時計の電池交換す

時の日や止まりしままの腕時計

トラム過ぐ白夜の街を縫ふやうに

開国の港の町の濃あぢさゐ

家中のシーツを干して梅雨晴間

紫陽花に埋め尽くされてゐる歩道

夏帽や出掛けたくなる海や山

ボーイスカウト九時集合草むしり
2016/7/9

▼chiharu
山茶花、平成28年6月号

法要の膳に小さき桜餅

卒業の日の寄せ書きの一行詩

桜貝拾ひ納めしオルゴール

旅雑誌開きしままの春炬燵

好きなだけクレソンを摘む春の川

歩きつつ一握りほど蕨摘む

青き踏む少女の白きスニーカー
2016/7/9

▼chiharu
ホトトギス、平成28年6月号

氷柱いま水に還つてゆくところ

残業のなき日の家路日脚伸ぶ

悩んでも疲るるばかり春を待つ
2016/7/9

▼chiharu
平成28年、5月

ストックの鮮やか過ぎる黄色かな

窓若葉マクドナルドの二階席

こし餡派つぶ餡派ゐて柏餅

混み合へる昼のとんかつ屋のキャベツ

喧嘩せしアシカ憲法記念の日

初夏のガイドブックを持たぬ旅

初夏の汀に止めるオートバイ

風薫る井上靖文学館

母の日や画用紙に描く母の顔

子の自立見守ることも春愁ひ

若葉道歩けば赤い靴きれい

薔薇抱いてカーテンコール鳴り止まず

背番号なきユニフォーム若葉風

夏木立渡りし風のみどり色

スペインの白き街並旅五月

ラジオからビーチ・ボーイズ夏めく日

更衣して髪型も変へてみる

告別の朝の卯の花腐しかな
2016/7/9

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