過去ログ28 2006/2/14 22:16

#ピクルス長老
つばくろ
 
 

いつもとは違う道を帰った日の彼女
もう歩けなくなって
駐車場の水溜まりに降る雨の波紋を見ていた
つめたく完璧な丸を描いて
にびいろの波紋は静かな口調で責めるから聞いてしまう
そうだね幾つもの波紋を通り抜けて
私達うまいことやったはず
なのに
彼女は催眠術にかかったみたいに
いつまでもいつまでも見ていた

特売日に怒ったような顔で叩くレジ娘
独りの時は、どんな顔をしてるの?
少し飽きはじめた売れ残りのパンを
うれしげにかなしげにちぎっては
諦めながら池の鴨に放る
群れは
修羅のようだ
なにか云いかけて
また四肢を縮めた

信じること
傘をさしたなら雨には濡れないと思うこと?
そうじゃないそうじゃない
最後の硬貨を握り締めて
広場の水道で
がぶがぶ飲む
水を、もっとたくさんの水を
言い損なって
聞きそびれて
いらくさを着るようになった

宥めてもなお燃ゆる望月は
街中の猫と犬を集める
よもすがらむせぶチグハグの
縫い針に謝っては
一匙ずつおすわりさせて
ウミネコの鳴かぬ海に返しておくれよ
ひとつとしてまっすぐのない海岸線から
また帰り道が始まる
 
2006/2/14 22:16

#幹
そのまん丸い瞳から発射された、
イレラバンス主張。

分かる。
分かっていると、思う。

だから、もう顔を上げる必要もない。
二時間前に5、6分しただろう社会情勢なんかの雑談も終わった事だし、
飲み過ぎているカルキ水は、唇の渇きを潤してない。


別れよう。

二手に伸びた赤い絨毯を
各々別々に歩き出す前に、

頬と頬を擦り合わせ、
キスをして。
キスをして。


きっと明日に七月の月が食べられ
全ての太陽がモガれたら、

あなたも
あたしも
泣いてしまうだろう。
いくら唾を吐きつけても

愛しているんだから
2006/2/13 1:24
HP

#月子
万華鏡に住む人
散らかした大地に、嫌悪と唾を吐いていたんだ。

歪んだイルミネーションを拒絶し瞼を閉じたんだ。

世界を否定した私は

気付けば世界に否定され

手折られたサルビアの真似しか出来なくなっていた。

なんと滑稽だとさめざめ泣く私に、ケルビムが手渡してくれたものは

万華鏡であった。

ケルビムは万華鏡こそ世界を美しくみせる唯一の道具だと微笑み、

なるほど、促される侭覗き込めば

私が真似ていた手折れのサルビアさえ、美しい装飾品のようではないか。

それ以来私は世界に絶望する度、万華鏡の中に暮らしている。


―親愛なる姉に捧ぐ―
[site]
GBH
2006/2/9 15:17
HP

#ちづか
窓越しで見る雪
外はとても寒そうだ

窓に息を吹きかけ
くもった窓に
らくがき

何だか憂鬱だね
でも少し嬉しくて

煙草が吸いたくなるよ
2006/2/9 14:25

#ray
低頭気質
あぁまただ
平伏すような毎回のマイクの気質

腕と首に繋がれた信号
君の温度と
あたしの温度
溶けあってしまいたい

空気に隆起して低頭
お願いだから
君の傍にいさせて


あたしを
空気にしてください
2006/2/6 23:10
HP