落葉亭

過去ログ11 2013/10/27 19:36

▼chiharu
ホトトギス、9月号より

自動車の免許取りたて蔦若葉

半袖のシャツの眩しき夏来る

母の日や素直になれぬこと多し
2013/10/27

▼chiharu
2013年、8月

銀漢の空に無限の広さかな

大陸の地平線より天の川

高原の風涼しくて星きれい

師の快癒願ふ七夕飾りかな

風に乗る火薬の匂ひ揚花火

文月や返信のまだ出来ぬまま

語り部の齢九十原爆忌

癒ゆるなき心と体原爆忌

絞りたてオレンジジュース今朝の秋

あつけなき木槿の花の別れかな

迎火や地図になかりし道しるべ

終戦の日や読み返す罪と罰

ハンモック揺られて風の子守歌

羽のない小さな天使昼寝の子

混み合へる島の食堂ところてん

都電まで片蔭のなき大通り

波音の調晩夏のセレナーデ

採血の拳に力秋暑し

昼寝覚君が突然ゐなくなる

流暢に話すロシア語生身魂

夜濯ぎを干すオリオン座探しつつ

アルプスの水やはらかき麦茶飲む
2013/10/27

▼chiharu
山茶花、10月号より

麦酒飲む酔はねば言へぬ話あり

進みつつヨットは風を楽しめる

凹みたるまま置かれゐし夏帽子

人の恋打ちあけられてソーダ水

昼寝覚しばらく記憶遠くなる
2013/10/14

▼chiharu
ホトトギス、10月号より

あぢさゐの花に移ろひ心あり

遠き日の母の眼差し茄子の花

戻りたる猫の足拭く梅雨晴間
2013/10/14

▼chiharu
2013年、9月

長き夜やまだ書きかけのEメール

髪切れば心も軽く爽やかに

虫籠や図鑑ひろげし男の子

ふと見れば星のかたちに桔梗咲く

秋の虹口開けて見るタワーかな

秋雷や午前六時の旅枕

出勤や夜学教師といふ仕事

小鳥来て土曜の午後のティールーム

落款の位置ずれてゐる秋灯下

栗を剥くオリンピックの記事の上

芒野に風の輪唱ありにけり

愛の羽根つけてあなたに逢ひにゆく

台風の進路次第といふ旅路

台風の去りて広がる空の青

コスモスの揺れて住宅展示場

微笑の国より届く唐辛子

美しき古語思ひをる良夜かな

天と地を繋ぐこの道曼珠沙華

象牙色なす十六夜の月明り

名も知らぬ小鳥来てゐるテラスかな

父眠る墓所の一隅彼岸花

小鳥来て猫が獲物をとる姿勢

黙もまた抗議のひとつ露けしや

赤い羽根目印にする待ち合はせ

流星の消えたるあとの闇深し

芋虫のソテーにスリル異国の地

新涼の会ひたき友に会へし旅

萩零る風の悪戯かも知れず

故郷はちちははの国いわし雲

コスモスの嫌ひで終る花占ひ

踏み入れば我より高き芒かな

しろがねの風を集めて芒原

水色の空はキャンバス秋桜

露けしや明日閉店の鮮魚店
2013/10/14

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