落葉亭

過去ログ88 2016/10/10 14:59

▼chiharu
ホトトギス、平成28年9月号

初夏のガイドブックを持たぬ旅

金色のピアス揺らして夏めきぬ

母の日の母の絵を書く男の子
2016/10/10

▼chiharu
平成28年、8月

底紅や格子のついた障子窓

鍬形の表紙ジャポニカ学習帳

中元やまたバラの絵の包装紙

花火する明日東京へ帰る子と

この旅の締めの線香花火かな

病室の窓に顔寄せ花火見る

原爆忌みな黙祷の甲子園

かなかなや命の燃ゆる音のして

蜩や今ふる里の駅に立ち

流星やオペラハウスを眺めつつ

七夕はハチ公前と人を待つ

秋涼し朝の珈琲テラスにて

夏霧に包まれてゐる展望台

新涼や川の奏でる水の音

夏霧やまだ濡れてゐる滑走路

雨もまた旅の思ひ出休暇果つ

秋暑し道に迷ひしレンタカー
2016/10/10

▼chiharu
山茶花、平成28年十月号

腹の子のよく動く日のトマト喰ぶ

参拝の汗の石段登りきる

巴里祭やワイン夜景を眺めつつ

派手な柄着て落ち着かずアロハシャツ

快方に向かひし父の髪洗ふ
2016/10/8

▼chiharu
ホトトギス、平成28年十月号

背番号なきユニフォーム若葉風

ジャカランダ銀座通りはむらさきに

庭に咲くグラジオラスを供花に切る
2016/10/8

▼chiharu
平成28年、9月

台風の進路気になる旅プラン

さ迷へるごと台風の向き変はる

冠水の道なき道や野分あと

カヌー漕ぐ川面色なき風渡る

秋の虹機内の窓に顔寄せて

相席の炭台囲み秋刀魚焼く

海霧深し波の向かふに貨物船

台風に飛行機引き返すことも

海霧晴れて幣舞橋に見る夕日

雨宿りせし店先のまりも買ふ

蝦夷鹿と出逢ふ感動てふ余韻

湿原や野生の鹿と目の合ひぬ

秋夕焼子をを肩車して帰る

爽やかに天気回復してカヌー

海霧深し釧路は海抜ゼロの町

湿原の秋を見つけに来る旅

小鳥来るジャズの流るるカフェテラス

秋晴や窓の外には飛行船

鹿の肉食わず嫌ひと言ふことも
2016/10/8

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