落葉亭

過去ログ89 2016/11/4 10:56

▼chiharu
平成28年、7月

捕まへし蜥蜴を猫が見せに来る

汗拭ふ体育館の二階席

育ち過ぎ酢の物にする胡瓜かな

夏ホテルよりエメラルド色の海

夏ホテルトレドの街を一望す

異国より戻りてよりの梅雨入りかな

扇風機スイッチ探す足の指

参拝や汗の石段登り切る

惜敗の汗のマットに伏して泣く

派手な柄着て落ち着かずアロハシャツ

冷蔵庫ドアに給食献立表

炎天下トロンボーンを吹く少女

種の向き見極めてよりマンゴー剥く

特訓の汗の絞れるユニフォーム

腹の子のよく動く日やトマト喰ぶ

サングラスかけてクールといふ女

氷菓喰ぶ山手線に揺られつつ

青芝に寝転んで見るタワーかな

日本一美味しいパスタ夏の昼

日傘差す駅改札を出てすぐに

夕焼の海を見てゐる女の子

帰省子のよく寝よく食べよく笑ふ

巴里祭や夜景を眺めつつワイン

巴里祭や歌で覚へるフランス語

七色のイルミネーション夜の噴水

白南風や海を見てゐる風見鶏

明け方の雷鳴目覚ましとなりぬ

手に汗のシーソーゲームてふ試合

潮風に髪靡かせてサングラス

暫くは道連れにして蝉の殻

夏休自分探しの旅に出づ

Tシャツを脱ぐメガネまづ外す君

湿原の夕日に染まりゆく晩夏

運転の眠気覚ましのラムネ飲む

カラフルなトマトの並ぶサラダバー

死んで生き返る夢みて明易し
2016/11/4

▼chiharu
山茶花、平成28年十月号

腹の子のよく動く日のトマト喰ぶ

参拝の汗の石段登りきる

巴里祭やワイン夜景を眺めつつ

派手な柄着て落ち着かずアロハシャツ

快方に向かひし父の髪洗ふ
2016/10/10

▼chiharu
ホトトギス、平成28年十月号

背番号なきユニフォーム若葉風

ジャカランダ銀座通りはむらさきに

庭に咲くグラジオラスを供花に切る
2016/10/10

▼chiharu
平成28年、9月

台風の進路気になる旅プラン

さ迷へるごと台風の向き変はる

冠水の道なき道や野分あと

カヌー漕ぐ川面色なき風渡る

秋の虹機内の窓に顔寄せて

相席の炭台囲み秋刀魚焼く

海霧深し波の向かふに貨物船

台風に飛行機引き返すことも

海霧晴れて幣舞橋に見る夕日

雨宿りせし店先のまりも買ふ

蝦夷鹿と出逢ふ感動てふ余韻

湿原や野生の鹿と目の合ひぬ

秋夕焼子をを肩車して帰る

爽やかに天気回復してカヌー

海霧深し釧路は海抜ゼロの町

湿原の秋を見つけに来る旅

小鳥来るジャズの流るるカフェテラス

秋晴や窓の外には飛行船

鹿の肉食わず嫌ひと言ふことも
2016/10/10

▼chiharu
山茶花、平成28年9月号

わが夫の腕に止まりし蚊を叩く

時の日や時計の電池入れ替へて

虹かかりあくまで青き水平線

梅雨籠サイト閲覧ばかりして
2016/10/10

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